今回の参議院選挙では各党の憲法に対する立ち位置を投票の導にしようと思う。憲法に関する議論は「改正」か「護憲」に二分されることが多いが、それはかなり荒っぽい手法だと感じる。まず個別の条項についてもっと細かく論議を重ね改正するかどうかの判断がされるべきだと思っている。私は必ずしも憲法改正に反対ではない。現憲法の精神は概ね護らなければならないと思っているが、その表現、記述についてはもっと明確にわかりやすいものに変える必要があるだろうと考える。
今、憲法論議でもっとも怖いと思うのが自民党の改憲案。その案では「9条の2の5項」に次のように記されている。
「国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。」
これは明らかに「軍事裁判、軍法会議」の設置である。安倍総理は「日本を取り戻そう」というスローガンを掲げて選挙戦を戦っているが、自民党は大日本帝国を取り戻そうとしているのだろうか。
また生活の党の小沢一郎代表が記者クラブ主催の公開討論で自民党改憲案について指摘した「97条(基本的人権は永久の権利として与えられたもの)の削除」の問題。質問された安倍総理はまったくトンチンカンな答えをしていたが、これは先の「9条の2の5項」にも関連する重要なことだ。
同じ公開討論でみどりの風の谷岡代表も「日本国民は」で始まる憲法前文が、自民党改憲案で「日本国は」に変わったことについて鋭い質問しているが、安倍総理は真正面から答えることなく言葉を濁している。安倍総理は現憲法どころか自民党の改憲案もよく理解していないのではないかと思われる。こんな人に政権を委ねていてはこの国はとんでもないことになりはしないかと危惧する日々である。
スタジオジブリの小冊子『熱風』の7月号の特集「憲法改正」がPDFで緊急無料配信されたので投票前に一読されたらと思う。
その点共産党はある意味エライと思うこともありますね。政党交付金も受け取らず、一貫してぶれない主張は評価できますね。支持するかは別として。
政界もそろそろ再編されるべき時期にきているのではないでしょうか。野党第一党の民主党も危機的状況ですし、小党はどこも伸び悩み、どころか衰退の一途。
そろそろ是非とも一票を投じたいと思えるような骨のある政党ができてほしいものです。