とかくに人の世は・・・

智に働いてみたり情に棹さしてみたりしながら
思いついたことや感じたことを徒然に記します 
  nob

うらおもて

2011年01月13日 | 世の中のこと
自分の位置する立場で見方が変わってくる。人間というものはとかく自分中心に物事を考えるものだ。金子みすゞさんの詩に「大漁」というのがある。

大漁

朝焼小焼だ
大漁だ
大羽鰮(オホハイワシ)の大漁だ。

濱は祭りのやうだけど
海のなかでは
何萬の
鰮のとむらひ
するだらう。

TPP参加を推進するかどうかでは工業界は賛成にまわり、米作を中心にした農業界は反対の声を大にしている。諫早湾潮受け堤防の開門調査のことでは、長崎県が反対、佐賀県と熊本県は賛成。それぞれ目先の利益しか考えないから対立が生まれるのだろう。

近江商人の経営理念は“売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方よし」”だそうである。その理念で事業を大きくし現代の大企業となっているところも多い。今の世の中は“自分よし、身内少しよし、他人どうでもいい”の考えがはびこっているようだ。勝ち組・負け組といわれて久しいがこの頃からこんな考えが広まりだしたに違いない。

世の中、喜ぶ者があればその裏で悲しむ者があることは珍しくない。勝者がいるということは当然敗者があってのことだ。敗者のない勝者なんてものは存在しえないのだから。大切なことは勝ち負けを作らないことではなく、いかに勝者は敗者のことを思い描けるかだと思う。

まさかイワシが葬送をするはずもないが、そんな想像ができるこころを持つことで世の中をよくするひとつの手だてになるのかもしれない。

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