久遠の絃

-くおんのいと-
since 2003/9/1
キレイな写真なんていらない。もっと本当の姿が見たい

あの夕日が忘れられない

2007年04月29日 23時32分50秒 | 久遠
 目の前に大きく大きく飛び込んでくる。受け止める事すら出来ない夕焼けは、ぼくらを通り抜けて後ろの街を照らす。
 海の向こうへ沈んでいく今日の太陽は、空を朱く、海を紅く染める。振り返る君の横顔が赤かったのもこの夕焼けのせいかもしれない。
 にっこりとほほえむ君を夕の光がやさしく包む。きらきらと光る海の色をうつしたように、君の顔が輝いて見える。
 早いまま動き続ける僕の心臓は、まだゆるむことなくいつまでも早いままで。
 言葉がいらないほどに周りの音が小さく聞こえる。夕の色に染まっていくぼくたち。まちはゆっくりと夜へと変わっていく。ぼくらだけを夕日が包み、街には明かりが灯り始める。波の音だけが聞こえて、ぼくたちは微笑んだまま。

 君がそっと手を伸ばすので、僕はやさしく君の手を取った。
 薬指に指輪をはめるまねをして、僕はもう一度キスをした。
 いつの間にか染まった空が夜へと帰ろうとしている。
 ただ目の前にいる君と、赤く染まった夕焼けが忘れられない。


ブログランキング・にほんブログ村へ
(ブログランキング。たまに押してもらえるとうれしいです)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 静かな | トップ | ぐるぐる »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿