設計事務所の裏窓

夫は建築士。設計事務所をやってます。
裏から眺めた感想、日々の独り言。
不定期便で頑張ります~!

使える頭

2005年04月29日 21時31分00秒 | 独り言
「何でも入る収納充実の家です」
こんなキャッチフレーズは商品化された家では
大満足で受け入れられる事だろう。何しろ世の奥様達の
家に関する興味事はキッチンや機能美や安さと並んで
収納もだんとつで多いのだから・・・・

大きい収納!もうそれだけで なんだか家の中が全て良しと
なってしまう位だ。でも ここでちょっと冷静になってほしい。
大きい収納。収納の多い家。これって果たして使える収納なのか?
そう 収納は使えなくては意味がない。

「奥行きが こーんなにあるんですよ~~」
「まあ素敵!」
こんな会話 どこでも聞こえてきそうだが奥行きのある収納って
実はとても使いにくい。というか物が「出たり入ったり」が
出来ない!!何しろ奥行きがあるという事は奥にしまった物は
そう簡単に取れやしないのだ。だったら年に数回の物をしまえば
いいわとなるが この年に数回も厄介。数回がゼロになり
果ては数年に一度の物になる。数年に一度しか出ない物って
何だろうか・・・・もうそれは不要物って事だ。
こうして奥行き深き収納の奥底に 不要物が眠り一番
出し入れの激しい物が次第に外にあふれるという悪循環が
生まれてしまう。

収納ってともかくしまい込む事でもないと自分は勝手ながら
考えている。気軽に出し入れ出来る場所という事で
収納の場所も重要になる。そして大きな収納があればあるだけ
大きい方がいいという代物でもないと思う。
人間 大きいのがある。まだ余裕がある。もっともっと
入れてしまおうとばかりに 余計な物を抱え込む。
それと場所を考えないと高い位置に収納を作りわざわざ踏み台を出して 
出し入れをする羽目になる。人の日常で踏み台をよっこらしょと
わざわざ出してやる行為は なかなかやらないものである。
これと似ているのが 流行っている部類に入る
可動式家具というもの。これも実際 毎日移動して使っている
人がいるかと思うと 案外少ない。結構 人間って面倒な事は
元来嫌いらしく 一度置いた位置の家具はなんとなく
そのままが多いらしい。

収納に限らず 作り付けのクローゼットにしても何でも
使える物じゃないと何も意味がない。
いくら「欲しい!」「じゃあ 大きいのをつけましょう!」
という事になっても つければいい あればいいのやり方
だと住んで暮らして「こんな筈じゃあ」となるのがオチ。

我が家が絡んだ個人住宅で やっぱり収納に関しては
個人的に使いやすそうと感じたのは やはり壁面収納だろうか。
奥行きも計算されていて 取りやすい場所にあると
日常の暮らし方も快適になりそうだ。

片付けって 案外頭を使う。その人のセンスみたいのも
出てしまうから不思議・・・・・
どんなに最高の収納を作り上げても 使う人次第というのも
勿論ありそうで・・・・
使える収納には 使える頭が必要という事か・・・

我が言葉ながら チクチクと痛い・・・