設計事務所の裏窓

夫は建築士。設計事務所をやってます。
裏から眺めた感想、日々の独り言。
不定期便で頑張ります~!

古き自転車へ

2006年01月23日 14時58分26秒 | 独り言
自転車が壊れてしまった。
こぐと「チャリ~~ンン」というもの悲しく
誠に貧乏くさ~~い音をさせ 今にも後ろの
車輪が取れてしまいそうなほど なぜかハンドルも
ぶれて仕方がない。

思えば12年も乗っている。
我が家でも古株部類。

今 住んでいる町はテレビでよく映る中国の都市の
ように なぜか自転車人口が多い。
平坦な道と一方通行の路地の嵐。
歩くのは距離が少々あるが自転車にはほどよい という
そんな場所が点在しているせいなのか。。。

とうとうお払い箱となってしまう自転車をひきずり
町の自転車屋さんへと。

「随分 使いこなしましたねえ」
店の人が開口一番こう言い放つ。

前後の子供乗せ用のカゴもボロボロで へし曲がった
買い物カゴに手入れのされていないサビだらけの
ハンドルと・・・・しみじみ古ぼけた自転車を
自分で見つめて 結婚してから子供が産まれ
一時は怒濤のように子育てに追われた日々が
大袈裟だが走馬灯のように頭によみがえってきた。

前後に子供を乗せ 自分が乗ってもなぜかひと足こげば
スイスイと地面がみるみる遠ざかる。
子供が小さい頃の交通手段としては 最適なこの乗り物を
今住んでいる町の人達は自然に必然的に こよなく
愛している。

12年前とは少々 機能的によくなった新しい自転車を
購入して外に出る。
初めは引っ越した家の水道の蛇口の捻り方に違和感を
覚えるが如く どうも足にペダルが馴染まないが
まあ、それも時間の問題だろう。

変わった事は妙に軽い事。
そう 今は子供を前後に乗せる事もなく自分一人だけ。

ひと足こいで置いてきた古き自転車を振り返る。
ひっそりと店の中でボロボロのままの後ろ姿。
ちょっと柄にもなく感傷的になり
「ご苦労様」とソッと心で呟いてみる。