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うさとmother-pearl

目指せ道楽三昧高等遊民的日常

町家で聴こう

2007年11月17日 | ことばを巡る色色
今日は町家コンサートですよ。主催はトラスト岐阜さん。場所は、麩兵さんの旧店舗。ちょっと失礼して、七五三で賑わう伊那波神社さんの駐車場に置かせていただいて、歩いていこう。参道はしだれ桜。米屋町、吉照庵さんのある通りへと曲がる。シートで大きく囲われているのは、旧日下部邸。そっと覗くと重機が入っている。広く更地になった日下部邸跡は名残の煉瓦やら敷石やらがある。数年後には高野山と名古屋に移築されると、日下部家主さんの言葉が看板にされている。大事に移築されますよ、という報告と感謝の文面。愛されていた日下部邸(旧吉照庵)。私もかつて何度かお蕎麦を頂いた。何もなくなってしまって、こんなにも広いお屋敷だったとわかる。なんだか、泣けてしまった。お隣の日下部邸洋館である石原美術のアールデコのエントランスは健在だ。ちらりと覗くと吊電燈、ステンドグラス、階段、何もかもが美しい。向かいは最近できた豆腐茶屋万福さん、桂翠館さん。どちらも古い建物を用いていらっしゃる。蟹料理のひら井さん、そうして憧れの水琴亭さんの前を通る。水琴亭さんの開いた門から市松の襖が見える。細い路地を入ると麩兵さん。
         
こんにちは。お邪魔します。
あら、商いの看板がかかっていますよ。
         
入場料300円のコンサートなのに、麩兵さんの生麩ぜんざいのおみやげつき。
お座敷は南向きの中庭に面している。その西にはお蔵。
車座になり、フルート、セロ、キーボードの方々のセッションを聴く。なんとなんと贅沢なことでしょう。

「エイジング」 ヘッドフォンなどの音のこなれをよくするために、数十時間か音楽を流すという作業がある。それをエイジングと呼ぶ。エイジングというのは「加齢」ということだけれど、それにより、出来立てでないよさが生まれるのだ。
この麩兵さんのお店。そうして今日歩いた、万福、石原美術、旧日下部邸、水琴亭、桂翠館。できた当初はどんなだったろう。それはそれで素晴らしかったろうけれど、エイジングされたこの建物たちは、エイジング故に、今、良き物、である。昨今エイジングは「アンチ」という冠をつけて語られるけれど、少なくとも、ここではそれは讃えられる物だ。多分私は、エイジングされているから、こうやって古いおうちを訪ね歩いているのだから。人のエイジングも斯くありたい(だからって、ただ漫然と歳を重ねているだけの人が大声で自己肯定をするのを聞くのは、気分の悪いものであって、上等な新しいものは、その上等さを正しく評価されるべきだと思うけどさ)
エイジングを活かしながら、古いおうちを保全修理し、使い続けることは本当に大変なことなのだろう。しかし、それは本当に美しい。文句なく、美しい。
入り口に箪笥が有った。切り抜いた菅原道真が貼られている。
            
私の日頃の行いを指摘するかのようにピンボケになってしまったけど、勉強、正直が大切なり と書いてあった。はい、私も精進いたします。

Thanks for おしえてくれたけんちゃん