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映画「めし」


1951 日本 97分 しまね映画祭 松江テルサにて10月17日16時30分上映
監督 成瀬巳喜男 原作 林芙美子 脚本 田中澄江 井出俊郎
出演 原節子 上原謙 島崎雪子 中北千枝子 杉村春子 杉葉子 小林桂樹

大阪の南外れに住む結婚5年、子供のいない倦怠期の夫婦(原節子と上原謙)。
これと言って夫に欠点は無いのに、妻の心にたまる不満。
家出して来た若い姪、里子(島崎雪子)の奔放な言動に苛立つ妻。
関東の実家に帰ったものの、どこにも身の置き場がない。
その妻を見る人々(実母・杉村春子や妹・杉葉子の夫・小林桂樹を含めて)のクールな目。
睡眠不足なので、実家に帰るや否やいくらでも寝てしまう。
職安に行って見るが、失業者の中に、子持ちの未亡人で同級生(中北千枝子)を見つけ
女一人生きる厳しさを予感する。
幼馴染の男とデートするが、彼の積極的な気配に不安になる。

結局夫のそばにしか居場所がないのだろうか。
帰りの汽車の中で、夫のくたびれた横顔に、妻は自分の運命を同伴者として自覚する。

この映画は何度見ても好きだ。
大阪での立込んだ住居の近い人間関係だとか、玄関から靴が盗まれると言った世相が懐かしい。
原節子の、凛とした佇まいも救いである。
「浮雲」と違うのは終り方がほのかに明るく救いがあることにある。

この映画の原作は、林芙美子の、朝日新聞連載中に急逝したため、未完の小説だが、以後、成瀬巳喜男―林芙美子コンビの映画が続々と作られる。「稲妻」「妻」「晩菊」「浮雲」「放浪記」など

→「浮雲」15-10-19
→「石の花ー林芙美子の真実」10-3-15
→平林たい子「自伝的交友録」10-1-24

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