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「寒夜」

1982 北書房刊 著者 巴金(初出1947)訳 村岡圭子 

9月にきた客人のせいで、重慶を舞台にした小説を読みたくなった。
先ず読んだ「紅岩」は1949の国民党支配下の共産党員の活動を描いており、ちょっと手ごわかった。
「寒夜」は30年位まえに映画を見たが、妻役の多岐川裕美に似た美貌が印象的だった。

この小説は、大戦中の重慶が舞台である。
落ちぶれた地主の一家、主人公は病気を抱えて、生活のために会社に勤めている。
日本軍の侵攻におびえつつ、母と妻の尖鋭な対立に苦慮している。

かれの文章は綿密、繊細で人間心理をよく洞察している。
後の中国の社会性政治性を重んじる小説にはめったに見られないものだ。
ペンネームの金は無政府主義者クロポトキンからとったと言われる。
「クロポトキン一革命家の思い出」も世界ノンフィクション全集で読んだが
好きだったのを思い出した。
革命家と言っても、アナーキストは親しめるのである。


→「家」15-12-30
→「重慶から」15-9-24



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