goo

【映画】エデンの東

1955年 米 115分 鑑賞@OS名画座 原作 スタインベック
監督 エリア・カザン 出演 ジェイムズ・ディーン 他

 旧約聖書のカインとアベルの神話に基づいた原作「エデンの東」が発表されたのは1952年だが、さっそく映画化の構想が起こった。第一次大戦下のカリフォルニア州サリナスで農場を営むアダムの2人の息子、優等生で父の寵愛(ちょうあい)を受けているアーロンと、落ちこぼれで愛に飢えている弟キャルの家族と青春の確執を描いたこの作品は、名匠エリア・カザン監督の中でも名作といわれる。

午前10時からの上映にも拘らず、かなりの入りだったが、2、3の例外を除き「かつての若者」ばかり。それも、老いを自認しない気持ちが充ち溢れている人が多い。ジミーと言えば、3本の映画に出て、24歳で自動車事故で夭折した永遠の青年だから、当然である。

 そのジェイムズ・ディーンは映画で初めて「泣く男」を演じたと言われる。「それまで、ハリウッドの男性スターはゲーリー・クーパーもハンフリー・ボガートもクラーク・ゲイブルもジョン・ウェインも、泣かなかった。人前で涙を見せるなど、男として失格だと言う考え方が強くあった。」というのは川本三郎氏(2005年9月20日毎日新聞「”泣く男”の登場」より)だ。マッチョにあらず、「弱弱しく繊細な若者像をスクリーン上に表現した」ことが、若者の熱狂的な支持を受けた。それまでの硬直した男性像が、うそであったかのように。

 彼は天才とも言われ、またバイセクシュアルだったと言われる。その演技の柔軟さはそんなところに由来するのかもしれない。52年を経てなお、その仕草と言い、表情と言い、現代の若者にひけをとらないばかりか、はるかに生き生きしている。ちょうど映画の中のセリフの「シベリアの氷の中から発掘されたマストドンの肉が、新鮮でおいしく食べられる」と同じように・・・

 しかし、原作者スタインベックの作風のせいか、あるいはカザンがトルコ移民であることの影響もあってか、アメリカ映画にしては、激情的であり、それがしばしば身体的表現として表れる。16歳で見た時は(myプロフィール参照)これ以外の表現は無い、完璧な作品だと思えたが、50歳の伯父が、「ほう、あんなエキセントリックなのがいいのか」と言った、その反応が今は分かる。同じくトルコのファティ・アキン監督の「愛より強く」(2004年)は美しい箇所も多いが、頻繁に暴力が炸裂するので、今のわたしには耐えられないが、もし若い日に見たら、どの部分も捨てられない、と思ったかも・・・・

→「エデンの東」2011-12-7
→「エリア・カザン自伝」2011-12-25

コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )
« 【映画】ニー... 【映画】殯(... »
 
コメント
 
 
 
Unknown (稲みのる)
2007-07-14 12:28:01
何度かこの映画を観ておりますが、又、映画音楽と言えばこの映画がいつもトップテンを飾るほどですが、さて、いかがなものでしょうか、と言うのが本音です。が、とにかく、映画って良いなと思わせる映画でしょうね。音楽の力が勝っているかと思います。夭折したことも評価をあげたような気がします。

彼の写真をケータイの待受画面にしたり、ブックカバーに利用していたり、昔は彼の写真入りの便箋を使っていたのですが、別に取り立てて影響を受けていた訳でもなく、何となく格好を付けていた節もあります。

 
 
 
Unknown (Bianca)
2007-07-17 09:38:14
おや、携帯の待ち受け画面とか、便箋とかに用いるなんて、それって相当なファンの行動ですよ。やはり男女を問わず人をひきつける俳優ですね。音楽についてですが、ローゼンマンの有名なあのメロディが出て来ると、ラブシーンが始まり、それはおかしいほど律儀なことを今回発見。花の野で、アブラとキャルがお昼を食べながら、話し合うシーンを、「ラブシーン」とは気づかない、16歳の晩熟な私でした。高校当時は、まだ見ないうちに英日対訳のシナリオを手に入れて、アメリカ俗語に目を白黒させていました。私のジミー熱は家族の間でも知れ渡っており、弟はついこの間も(私も50代だというのに)信濃町でジミーの写真展があるよと、新聞の切り抜きを送ってきたほどです。
 
 
 
Unknown (margot2005)
2007-07-17 21:14:21
こんばんは!
今でもリヴァイバルで上映しているって、やはりスゴイ作品なのですね?
この作品て泣く男ジミー&musicですよね。
初めてシアター(リヴァイヴァル上映)でこの映画を観た時、キャルと兄の恋人エイブラの忍び逢いのようなものを感じました...その後何度か観ましたね(TV)。
あのテーマmusicは50~60年代の映画のテーマを収録したLP(時代を感じて下さいませ)が家にあって、よく聞かされました。なもんで耳に焼き付いておりますわ。ジミーに捧げる”Good bye,JImmy”とかいうレコードも家にあって、これも聞きましたね。
ジミー・ディーンの映画はコレよりもエリザベス・テーラーと共演した「ジャイアンツ」がジミーらしくて好きです。ジミーらしくなんて言っても本当の彼の姿を知っているわけではありませんが...なんとなく...
「トリスタンとイゾルデ」のジェームズ・フランコがジミーを演じたTV映画「DEAN/ディーン」ってご覧になってますか?
ジェームズ・フランコがジミーになりきっております。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2007-07-19 01:27:07
margotさま、こんばんわ。「ディーン」は見ましたが、あの「トリスタン」のジェームズ・フランコだったとは知りませんでした。そういえば目じりの下がった童顔も、それと対照的に逞しい体も、似ていますね。「ジャイアンツ」といえば、牧童時代のジミーは好きですわ。ひげを生やしてからはちょっと・・・「GOODBYE,JIMMYBOY」って、一度聞いたことがあります。もう一つ「Goodby,Jimmy Goodby」と言う曲も1959年ごろ流行りましたが、それとは別物ですね。キャルとアーロンは双子なので、同じ女性が好きになっても不思議ではないですね。その他の点では大違いでも。
 
 
 
厳密に言うと (viva jiji)
2007-11-28 19:54:20
「エル・シド」(リバイバル)が洋画を観た最初なのですが殆ど記憶に薄いので
やはり「エデンの東」のディーンが私を映画好きにさせてくれたかと。

確かに金持ちにならない前の「ジャイアンツ」のディーンはセクシーで
よかったかな。

ちなみに私、女優ではE・テーラーの美貌に目がくらんだまま、
今日まで生きて来ましたの。

当方からのTBはエラー表示が出ましたので私のHNに「ディーン」関連拙記事、
(2年前の)内蔵しておりますのでご笑覧下されば幸いです。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2007-11-29 18:30:05
ジェームズ・ディーンとエリザベス・テイラー。
50年代映画界に輝く巨星ですね。うれしいです、「エデンの東」を語れる人に会えて・・・・早速、伺います。TBが出来ないとは・・・残念至極。又何か、やってしまったのかも・・・時々そういうこともあるのですが・・・調べてみます。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。