映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
先生からの便り
2016年02月15日 / 雑
「2年x組だったみなさん、20歳になられましたね」
と言う葉書が届いた。差出人はもと市立中学のU先生で受取人はめいである。
この書き出しを一読するかぎり、選挙の事前運動か商売の宣伝か、どうせろくな用件じゃなかろう。
と言う、俗な先入観は鮮やかに裏切られた。
めいは遠方に住んでいるし、「自分の不幸はあの中学にはじまった」とかたくなに信じており
うっかり中学を思い出さしたりすると、興奮して手が付けられなくなる。
転送して寝た子を起こすにもあたらないと、こちらで保管することになった。
本人より前に読んで、その上記事にまでするのはマナー違反だとは思うが
内容がちょっとユニークで、社会的な意義もあると思うので、大目に見てもらいたい。
読み進むと、何と彼は昨年3月辞職し、大型2種免許を取得して、5月に市の交通局に就職し、
「小さいころからの夢だったバスの運転手」になったというのである。
別にそんなに驚くこともないと、思う人も多いかもしれない。
現に「レイルウェイ」と言う映画の主人公は四十九歳で大企業を辞めて
一畑電鉄と言うのどかな私鉄の運転手になっており、これには実在のモデルがいる。
「十七年の教師生活」とあるから、U先生は四十歳前後だろう。映画よりも若い。
「小学3年の時の先生に憧れて」教師を目指したというので、いやいや教師になったわけでもない。
検索してみたら、あちこちの研修会などに彼の名前がでており、人一倍熱心で活動的な先生だったようだ。それがどうしてやめることになったのか。そのことは一言も書いてない。
生徒や父母にはその辺の事情がうすうす分るのかも知れないが、会ったことのない私には分らない。
教師生活の何に失望したのか、どうして「小学3年生の憧れ」から「小さいころの夢」へと更に退行したのか、その辺の事情にも言及してほしい。と盗み読みしたわたしは考えた。ネタを探している地元紙やTVはぜひ取材してほしい。U先生も語るに吝かでないだろう。誰でも読める葉書にした位だから。
文末に(説教臭くなってしまった……。ごめんなさい)と書いてあることからは
自分の生き方を、ひとつのモデルとして生徒に示していることがわかるし。
考えたことは3つ。①時代の変遷と、②文章の書き方、③運転手と教師の優先度
① 私の世代は、少しでも上をめざして行けとずっと聞かされて育ってきた。
戦後の復興から高度成長へと言う時代のせいもあるだろう。
もちろんそれに逆らう人種は、私も含め、必ずいたけれど。
昨今では世捨人の伝統の復活と言うのか「下に降りてゆく」ことが流行っている。
のみならず、教師がそれを実践、提唱するに至っている。
このごろあらゆる分野で、このようなエッと驚く話を聞く。
② 文章を書くときは事情を知らない人にも分るように書くべきだということ。
この先生は、まるで気心の知れた仲間内でしゃべるような書き方をしている。
教師の世間知らずと言う感じである。
③この場合、本来バスの運転手になるべき人が教師をしたのか、
それとも意欲も能力もある教師が、やむを得ぬ状況で転職したのか、
前者ならば生徒は被害者であり、謝罪すべきだし、後者なら本人が被害者になる。
言いたくもないかも知れないが、できればその事情を説明してほしい。
そうでなくただ「いつも人生を前向きに生きて行こう」だけでは隔靴掻痒だ。
……ともあれ、それ以来、バスに乗ると運転手の名前が気になっている。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント有難うございます。教師とバス運転手、同じサービス業とはいえがらりと違う職業なので、驚きますよね。ご本人には教育者としての苦悩も反省もあったのかも知れませんが、いつも「夢に向って」行くという前向きな発言だけで、社会的責任を感じるというより自分本位な姿勢。私も随分いろんな仕事をしましたが、自慢する気は起きないし、ましてそれをネタに「説教」するほど能天気にはなれないし、恥じ入って身を隠すくらいでしょう。一度だけ自分史でも書くのが精々のところ。
2,3日前からしんどかって休んでいました。今思い出して、ブログへたどりつきました。
「ブログへたどりついた」とは?憤慨のあまり私のブログを「お気に入り」から消してしまい、ようやく探しあてた?または寝床を這い出してパソコンのある場所までたどりついた?どちらにしても、しんどい思いをなさって気の毒でした。気候の激変で、何となく落ち着きませんね。時は休むに限りますね。お大事に。
ああ前回の「発想」とは私の発想のことでしたか?
連合いはこんなことを書いて怪しからんと言ってます。