映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
映画「サンセット」
2018 フランス・ハンガリー 142分 レンタルDVDで鑑賞
監督 ネメシュ・ラースロー 出演 ユリ・ヤカブ タラド・イバノフ
時と所は1913年第一次世界大戦前夜のブタペスト。題名の「サンセット」(原題「SUNSET」)とはオーストリア・ハンガリー帝国の凋落を象徴するらしい。
舞台は当時ウィーンと並ぶ新興都市であったブタペストの一流帽子店。ヒロインは若い女性でかつて両親が所有して今は他人に渡った帽子店を、求職のため訪問する。
ところでこの映画は終始一貫して分かりにくい。女主人公の唐突な行動の意図もわからねば、接する相手もことごとく的を外した答えしか与えない。謎が謎を呼び、観客はじーっと辛抱強く待っていれば答えが解るかと見続けても結局わからずじまいである。ただ漠然と、当時の中欧上流の生活や、それに対する恐ろしい勢力が感じられ、そして最後は第一次大戦の塹壕の中でおわる。
時代考証は丁寧に行われたらしい。たいていは、名作絵画が動いているような感じである。例えばスーラの「グランドジャッド島の日曜日の午後」。またある伯爵夫人の風貌は洋装の与謝野晶子にそっくりだと思い、晶子の年表を調べたら渡欧は1912年なのでまさに同時代。
この監督では「サウルの息子」を見たことがあり、薄暗い画面と甘さや優しさのない雰囲気が似ている。ハンガリーの国民性がそうなのだろうか、東方から侵入して欧州を制圧したフン族のDNAが、西欧画を見慣れた目には非常に異質に感じられるのだろうかとも思う。
「 ブタペスト市街戦1956」→2009-9-5
「アメリカン・ラプソディ」→11-1-5
「悪童日記」 →15-8-10
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