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映画「金子文子と朴烈(パクヨル)」

2017 韓国 124分 レンタルDVDで鑑賞

監督 イ・ジュンイク 出演 イ・ジュフン チェ・ヒソ

大正時代の日本に実在した無政府主義者・朴烈と日本人女性・金子文子の愛と闘いを描いた韓国映画。見たのはだいぶ前だが書くのに必要な気力がわかず、遅くなった。

文子の獄中手記「何が私をこうさせたか」や、朴烈の詩、公判記録、当時の日韓の新聞などの資料をもとに作られている。

金子文子は20歳で、数寄屋橋のガード下のおでん屋で働いているとき、1歳上の朴烈と出会い、思想的に共鳴して共に暮らし始める。関東大震災の直後、朝鮮人虐殺事件が多発する中、保護の名目で検束される。そこでわざわざ天皇制を否定の思想を吐露して、治安維持法違反で告訴。

死刑判決が出たとき文子は「万歳!」と叫んだと朝鮮の新聞には書かれ、日本の新聞には「がっくりとうなだれた」と書かれた。死刑から無期に減刑され、それを不服とした文子は即座に令状を破り捨て、鉄格子にひもをかけて死んだ。

朴烈は終戦まで20年服役し、1945年釈放され故国で大歓迎を受ける。文子の遺骨は1931年に韓国の朴烈の郷里に埋葬された。

映画は両国語が入り混じっており、良くここまで日本語と日本の歴史を研究し再現したと感心したが、あくまでも韓国人向けに作られているようだ。怪しい個所もあって奇妙な風体の右翼がちょんまげを結っているのには失笑した。文子が鉄格子のかなたの青空を見上げるシーンが印象的。 

発刊当時、母も読み、感動したという文子の手記「何がわたしをかうさせたか」は何度か読んだし、瀬戸内晴美著「余白の春」も、新潮社の瀬戸内寂聴全集(6)を借りて読んだ。朴烈は出獄後変遷を経て北朝鮮で刑死する数奇な人生を歩んだが、文子は獄中で生き延びるよりも死によって自分を生かすことを選んだ。いまだに彼女の映画が日本で作られていないことは、故国の空気が本質的に変化していないことを意味するのではなかろうか。

金子文子(1903.1.25~1926.7.23)
朴烈(パク・ヨル)(1902~1974) 

「大石誠之助と金子文子」18-2-8
「大逆事件と大石誠之助」11-11-4

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