映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」

2011 英 原題 The Iron Lady 監督 フィリダ・ロイド(1957~) 出演 メリル・ストリープ ジム・ブロードベント 3月 日松江SATY東宝にて
女性初の英国保守党首となったマーガレット・サッチャー(1925~)を描く。
私にとってはこれまで彼女は好感をもてる女性ではなかった。服装髪型が保守的で、何かというと台所に立ち、女性としてもちゃんとしている振りをする。一方政策は剛腕で情知らずの印象が強い。
しかしこの映画を見て、同情し共感するところがあった。チャーチル以来の偉大な政治家とも評される、政策における大胆さに感銘するのではない。国と文化は違うけれど、女性として似たような問題を共有していると言う点にだ。
彼女のセリフの中で、孤軍奮闘やってきた自分を省みるのに「男性に馬鹿にされながら」と字幕にあったが「undress」※と聞こえた。女性と見ると、どんな地位にある人に対しても、心の中で服を脱がす(=性的な対象と見なす)ことで劣等感を補う男性の傾向をこう表現するところに監督の主張がある。同じ監督の「マンマ・ミーア」はこれもメリル・ストリープがシングル・マザーであるが、一見反対の女性像のようだがフェミニズムの点では共通しているようだ。
空襲下、防空壕で父親が「バターに蓋をし忘れた」と言うので、彼女が命がけで家に戻るシーンがあるように、父の食料品店を手伝い、父親と同じ政治家を目指し、父親の「個人が努力して這い上がるべきだ」という価値観を共にする「父親の娘」であった彼女は、男性との良い関係を築ける基本的な信頼感があった。だからこそ「夫の支え」が(死んだ後までも)あったわけ。しかし保守党の男性政治家たちは、何かというと出自の低さと女性であることを馬鹿にする。首相となって上り詰めたあとは彼女の独裁的な言動にあるいは傷つき、あるいは極端な政策が国民の不人気につながるとて、保身に走る。「Men!」(男と言うものは!)と彼女がつぶやく箇所が出てくる。
女性は、一生の最後にはひとりにならざるを得ない。認知症の彼女は鍵のかかったうちからこっそり抜け出して、食料品店に牛乳を買いに行ったりする。知らない人にはただの少しおかしい老婆のようではあるが、「牛乳が49ペンスもするの?」と言いつつ、父の店で働いた若い娘に戻っていたのかもしれない。
※ここはむしろ[underestimate]だろう。公式の場で「裸にする」は不穏当(4月9日記)
→「プラダを着た悪魔」06-12-8(メリル・ストリープ主演映画)
→「マーガレットと素敵な何か」12-4-15
女性初の英国保守党首となったマーガレット・サッチャー(1925~)を描く。
私にとってはこれまで彼女は好感をもてる女性ではなかった。服装髪型が保守的で、何かというと台所に立ち、女性としてもちゃんとしている振りをする。一方政策は剛腕で情知らずの印象が強い。
しかしこの映画を見て、同情し共感するところがあった。チャーチル以来の偉大な政治家とも評される、政策における大胆さに感銘するのではない。国と文化は違うけれど、女性として似たような問題を共有していると言う点にだ。
彼女のセリフの中で、孤軍奮闘やってきた自分を省みるのに「男性に馬鹿にされながら」と字幕にあったが「undress」※と聞こえた。女性と見ると、どんな地位にある人に対しても、心の中で服を脱がす(=性的な対象と見なす)ことで劣等感を補う男性の傾向をこう表現するところに監督の主張がある。同じ監督の「マンマ・ミーア」はこれもメリル・ストリープがシングル・マザーであるが、一見反対の女性像のようだがフェミニズムの点では共通しているようだ。
空襲下、防空壕で父親が「バターに蓋をし忘れた」と言うので、彼女が命がけで家に戻るシーンがあるように、父の食料品店を手伝い、父親と同じ政治家を目指し、父親の「個人が努力して這い上がるべきだ」という価値観を共にする「父親の娘」であった彼女は、男性との良い関係を築ける基本的な信頼感があった。だからこそ「夫の支え」が(死んだ後までも)あったわけ。しかし保守党の男性政治家たちは、何かというと出自の低さと女性であることを馬鹿にする。首相となって上り詰めたあとは彼女の独裁的な言動にあるいは傷つき、あるいは極端な政策が国民の不人気につながるとて、保身に走る。「Men!」(男と言うものは!)と彼女がつぶやく箇所が出てくる。
女性は、一生の最後にはひとりにならざるを得ない。認知症の彼女は鍵のかかったうちからこっそり抜け出して、食料品店に牛乳を買いに行ったりする。知らない人にはただの少しおかしい老婆のようではあるが、「牛乳が49ペンスもするの?」と言いつつ、父の店で働いた若い娘に戻っていたのかもしれない。
※ここはむしろ[underestimate]だろう。公式の場で「裸にする」は不穏当(4月9日記)
→「プラダを着た悪魔」06-12-8(メリル・ストリープ主演映画)
→「マーガレットと素敵な何か」12-4-15
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