映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
映画「もうひとりの息子」
2012 仏 105分 DVD鑑賞 原題≪Le fils de l'autre≫英題≪The Other Son≫
監督 ロレーヌ・レヴィ 出演 エマニュエル・デュボス パスカル・エルベ
赤ん坊の取り違えが、イスラエルとパレスチナの2家族の間で起こった。
イスラエルのハイファの病院で1991年2月23日に生まれた2人の赤ん坊は同じ保育器の中に置かれていたが、湾岸戦争のスカッドミサイル攻撃に備えて避難する最中に、取違えられた。それから18年たつと、イスラエルのヨセフは兵役検査の年齢。血液型が両親と違うことでこのミスが発覚する。しかも相手はイスラエルの「不倶戴天の敵」、パレスチナ人だった。
取り違えられたということは、それだけ近くで生きていたということであり、
赤ん坊の内は特に、一見してお互いが見分けがつかないくらい、似ているということだ。
2人の母親たちは愛情にあふれ子供が大好きで、産んだ子にも育てた子にも愛情を感じている。
それに比べ、その夫たち、兄は硬直しており事実が認められない。
と言うステレオタイプが少し気になるが。
当のふたりの18歳はさすがにまだ心が柔軟で、積極的に互いに交流し始める。
(このあたり、ドイツ映画の「ふたりのロッテ」を思い出した。)
音楽の好きなイスラエルのヨセフ、パリに留学しバカロレアにパスしたパレスチナのヤシーン。
おっとり育ったヨゼフは、子供っぽい。それに引き替え、ヤシーンは苦労人で愛嬌が良い。
ヨゼフが売っても売れないアイスクリームをヤシーンがあっという間に売りさばく。
「彼はいつでも精力的で勤勉」という母親の言葉を裏書して微笑ましい。
結局この映画が言いたいことは赤ん坊はこれほどにもよく似ているということ、
歳月を共に過ごすことで親子や兄弟のきずなが生まれる事。
国境やナショナリズムにこだわり、互いに敵対することは愚かしいということではなかろうか。
フランス女性である監督は、そういう明確な意図でこの作品を作っているようだ。
「ユダヤであるから愛するということはない。友だちだから愛する」とハンナ・アーレントも言っている。
「ハンナ・アーレント」15-4-6
赤ん坊の取り違え・日本版
「そして、父になる」14-7-7
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 映画「ハンナ... | 日本ニュース » |
コメント |
コメントはありません。 |
コメントを投稿する |