2010 英豪 118分 監督トム・フーパー 出演 コリン・ファース ヘレナ・ボナム・カーター ジェフリー・ラッシュ 鑑賞@松江SATY東宝(4月10日)
1ヶ月前に見たのだが、アップがきょうになった。07年の「クイーン」もそうだが、このごろ英王室のメディア露出が目立つなあと思っていたら、先月29日の王子の結婚式でピークを迎えたようだ。宣伝上手な英王室の感を深くするのだが、それというのも国民のご機嫌を伺わないとその存続も危うくなると云う、切実なお家の事情があるからだろう。
娘(エリザベス女王)とか、兄(エドワード8世)と比べると地味な存在に思えるジョージ6世、実は最も国民に愛された王とのこと。それは、第二次大戦中、独の猛攻にも拘らず、疎開せずずっとロンドンに留まり、空襲の翌日、瓦礫の間を歩いて、夫妻で人々を励ましたからだそうな。
彼が吃音であったことは、知らなかった。しかし、控え目をよしとする国民性、男性の無口は別に欠点ではないので、国王にさえならなければ、悩むこともなかったのではないか。現にその妻は「私が結婚したのは彼が吃音だったから」と言っている位だ。「王冠を捨て、愛に生きる」という兄の決断のお蔭で、王位に担ぎ上げられ、一挙にその悩みが前面に出てきたわけだ。
コリン・ファースは「アナザー・カントリー」1984でルパート・エヴェレットの親友で共産主義者を演じた時から見ている。ヘレナ・ボナム・カーターは「眺めのいい部屋」1986以来だ。英国王は剣を取ってその地位に着いたので、戦争の時は先頭に立って国民を鼓舞しなければならない。楽じゃない商売である。この前の結婚式では、教会の権威は王より強い。蛇足だが、最近では尼僧も前のほうにいるが、あの服装は平の修道女のようで、あまりに男性と不釣合い。前に出るならもう少し何とかした方がいいのでは。
顔は本物の方が(2人とも)男前のようだが世界各地で映画賞をごっそり取ったのもうなづける、説得力のある作品だと思う。「ソーシャル・ネットワーク」と競合したそうだが、風格から言ってもまるで大人と子供、やはりこちらの方が一枚も二枚も上である。しかし大分忘れていて、書くならもっと早く書かなければいけないと痛感。
→「シングルマン」11-6-22