映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
映画「新源氏物語」
1961 大映 102分 DVD カラー シネマスコープ
原作 川口松太郎「新源氏物語」監督 森一生 製作 永田雅一
出演 市川雷蔵 寿美花代 若尾文子 市川寿海 中田康子
水谷良重 中村玉緒 川崎敬三 千田是也 水戸光子 三宅邦子
原作が川口松太郎だけあって、親しみやすい源氏物語である。大勢登場する女性たちの誰が誰かが分るように簡明に描きわけられているし、光源氏の生い立ちの事情からああなったわけも、筋の運びで納得がいく。奇抜であったり余計な枝葉が入ったりする源氏映画に比べると、基本を押さえた初心者向けというよりは万人向けの作品といえるだろう。
桐壷・藤壺(寿美花代)は凄味すら感じさせる美貌と気品。寿美花代は宝塚男役トップだが、9年前舞台でも演じている。
朧月夜(中村玉緒)の少女らしい反抗と積極性と末摘花(水谷良重)の自立し男を手玉に取る才気。この二人は当時の新しい女性像を反映しているらしい。
桐壷が、帝の寝所に急ぐシーンは衆人環視のなかであり、こうあからさまでは干されたその他大勢が桐壷をいじめたくなるのも当然と思われ、女たちを家畜のように一か所に置く御所というものが問題なのだと感じる。
父帝を演じる市川寿海は雷蔵の養父で、父子共演が話題を呼んだそうである。雷蔵は女性たちの引き立て役のように控えめな演技である。彼のおしょうゆ顔は歴代の光源氏の中で一番それらしいと思う。
六条の御息所(中田康子)が正妻葵上(若尾文子)を取り殺すシーンは、黒い霧が襲うように描かれているが、今から見ると表現は原始的だが感じが出ている。
「源氏物語」は、単純な表現でも、いや単純な表現でこそ楽しめることを発見した。
永田大映社長は2本立ては量産ひいては日本映画の混迷につながると1本立主義、つまり大作主義を唱えた。しかし量があればこそ質の良い作品も生み出されるのでは。会社間の俳優の貸借を禁止する五社協定もそうだが、結果から見れば「永田ラッパ」は映画界を興隆するよりは衰退させるための進軍ラッパだったようだ。
川口松太郎
→「くちづけ」10-1-11
→「近松物語」9-10-29
源氏物語の映画
→「源氏物語 千年の謎」 11-12-17
→「千年の恋ひかる源氏物語」11-6-28
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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でもこの時代の大映の女優はきれいですよね。そのDVDみたいわ。