映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
女性の獄中記
2017年06月24日 / 本
日頃親しんでいる市立、県立、国立の図書館で、検索し手あたり次第に獄中記を読んで、面白いので幾らでも手を広げ、挙句の果てすっかり頭が混乱してしまった。郷隼人と村上国治の次に女性の作品3つを取り上げる。
1.「女子刑務所ーエジプト政治犯の獄中記」
1990 三一書房
著者 ナワル・エル・サーダウィ(1931~)
訳者 鳥居千代香
医者・女性解放運動家の著者は、79年ごろには国境を越えたシリアの本屋にも沢山あり、小説やエッセイは同じ女性として内容も文体も親しみ深かった。投獄はその後のことで、サダト大統領がこうも乱暴に国内批判勢力を抑圧していたことをこの本で知り今更ながら仰天した。彼女は1981年月から83年まで獄中にあったが大統領の死を機に釈放される。そういえば日本にいるフィフィにもその面影があるが、どんなささいなこと・緊急な場面でも手抜きせずきっちり明確に自己主張をするのが印象的だ。女子刑務所には大量の売春婦が子連れで投獄されており彼女らの立てる騒音に堪えかねて自分らのいる政治犯との境に塀を作らせるところは、理論と実際のちがい、やや皮肉にも思えるが、騒音嫌いな私は同情する。
2.「南アフリカ117日獄中記」アパルトヘイト下の魂の苦悩
1966 理論社
著者 ルス・ファーストRuth First(1925-81)
訳者 野間寛次郎
「ワールド・アパート」の原作。南ア白人の反体制運動のジャーナリスト。
感覚心理学で無刺激の密室に人を閉込めるとまもなく異常に陥るとはよく聞くが、南ア「90日間無裁判拘禁法」からだと言われる。1963年、ネルソン・マンデラらと同時期に逮捕されて、釈放直後に2度目の90日拘禁を宣告されて絶望、ハンストと自殺未遂などの後に釈放、ロンドンに逃れて間もなく書いたので、後遺症もあるのか、文章は少し読みづらかった。
当時13歳を頭に3人の娘の母だった著者は19年後に小包爆弾で亡くなっている。
3.「ロシアの夜」世界ノンフィクション全集27巻
1961 筑摩書房
著者 ヴェーラ・フィグネル(1852-1942)
貴族出身でナロードニキ(民衆の中へ運動)の指導者として死刑判決を受け、無期減刑後、要塞監獄で20年間服役。昔読んだときは、投獄初日、ベッドもなく石の床の寒さに靴を枕にして寝るくだりに強烈な印象を受けた。壁を叩いて通信することで、狂気を免れる。この強靭な精神力で、90歳まで生きぬいたのもすごい。はしなくも彼女は6月25日生6月15日死、ちょうど今頃の季節である。
→「マンデラの名もなき看守」10-6-17
1.「女子刑務所ーエジプト政治犯の獄中記」
1990 三一書房
著者 ナワル・エル・サーダウィ(1931~)
訳者 鳥居千代香
医者・女性解放運動家の著者は、79年ごろには国境を越えたシリアの本屋にも沢山あり、小説やエッセイは同じ女性として内容も文体も親しみ深かった。投獄はその後のことで、サダト大統領がこうも乱暴に国内批判勢力を抑圧していたことをこの本で知り今更ながら仰天した。彼女は1981年月から83年まで獄中にあったが大統領の死を機に釈放される。そういえば日本にいるフィフィにもその面影があるが、どんなささいなこと・緊急な場面でも手抜きせずきっちり明確に自己主張をするのが印象的だ。女子刑務所には大量の売春婦が子連れで投獄されており彼女らの立てる騒音に堪えかねて自分らのいる政治犯との境に塀を作らせるところは、理論と実際のちがい、やや皮肉にも思えるが、騒音嫌いな私は同情する。
2.「南アフリカ117日獄中記」アパルトヘイト下の魂の苦悩
1966 理論社
著者 ルス・ファーストRuth First(1925-81)
訳者 野間寛次郎
「ワールド・アパート」の原作。南ア白人の反体制運動のジャーナリスト。
感覚心理学で無刺激の密室に人を閉込めるとまもなく異常に陥るとはよく聞くが、南ア「90日間無裁判拘禁法」からだと言われる。1963年、ネルソン・マンデラらと同時期に逮捕されて、釈放直後に2度目の90日拘禁を宣告されて絶望、ハンストと自殺未遂などの後に釈放、ロンドンに逃れて間もなく書いたので、後遺症もあるのか、文章は少し読みづらかった。
当時13歳を頭に3人の娘の母だった著者は19年後に小包爆弾で亡くなっている。
3.「ロシアの夜」世界ノンフィクション全集27巻
1961 筑摩書房
著者 ヴェーラ・フィグネル(1852-1942)
貴族出身でナロードニキ(民衆の中へ運動)の指導者として死刑判決を受け、無期減刑後、要塞監獄で20年間服役。昔読んだときは、投獄初日、ベッドもなく石の床の寒さに靴を枕にして寝るくだりに強烈な印象を受けた。壁を叩いて通信することで、狂気を免れる。この強靭な精神力で、90歳まで生きぬいたのもすごい。はしなくも彼女は6月25日生6月15日死、ちょうど今頃の季節である。
→「マンデラの名もなき看守」10-6-17
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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早速の反応うれしいです。私もこの人が、時間的には遠い昔なのに、現代に通じるものがあり興味が持てました。私の読んだのは抄訳でしたが、元の自伝はすごい分量があるようですね。感想のアップをお待ちしています。(と言っても速読も勿体ないのでじっくりと読んでください)