1972年 日活 91分 監督&脚本 藤田敏八 出演 広瀬昌助 村野武範 テレサ野田 藤田みどり 渡辺文雄
テルサにて10月22日鑑賞
「揺れ動く若者の行動と心理を硬質なタッチで瑞々しく描いた青春映画の名作」
と資料にある。
★ネタバレあり★
島根映画祭の一環だが、観客は10数名というわびしさ。
藤田監督の女優は、彼好みの、退廃的で一種独特な色気を放つ。男優は、さほど抜群の魅力があるわけでも無い新人・素人の起用が多いようだ。(村野武範も、当時はまだ新人だった)またこの映画では湘南が舞台で、その都会性といい、退廃といい、わたしとはあまりにも無縁な世界という感じだった。ただ、海岸の大きな白い岩のとかヨットのシーンは視覚的に素晴らしかった。
断崖から海に飛び込み「なかなか死ねないもんだね」というセリフ、「酔いがさめたら家に帰ろう」に出てくる。監督の東陽一、きっとこの映画から借用したと思うがどうだろうか?
この映画は20代の終りと30代の終りにいずれも藤田敏八特集で見ているが、20代の時は姉(藤田みどり)のヨットに投げ出された身体を「白鳥のよう」といい、ある種の共感を持っているが、30代のときは感想が何も残っていない。多分、当時は腱鞘炎で書くのがつらかったのだろう。
藤田敏八は「非行少年・陽の出の叫び」を1967年に奈良で見たのが最初。監督第一作でまだ藤田繁夫と名乗っていた頃だった。2本立てのもう1本(吉永小百合「君が青春のとき」)を見るためで、名前も知らない、「非行少年」と銘打った映画なので、全く期待していなかったが、それだけに強い印象を受けた。主人公が歌う「一本どっこの唄」が鮮烈だった。結局、この処女作が一番好きだ。
→2011-05-15「酔いがさめたら、うちに帰ろう」