映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
映画「今年の恋」
1962年 松竹 82分 監督・脚本 木下恵介 出演 田村正和 吉田輝男 岡田茉莉子 三木のり平 東山千栄子 浪花千栄子 高森和子 菅原通済 石川竜二 三遊亭円遊 若水ヤエ子 野々村潔 レンタルDVDで鑑賞
美男美女が登場するので、ただ画面を見ている分には楽しい。
あの木下恵介監督だし、新作貸出料を払ったが、それにしては期待外れ。
もともと正月用の軽い風俗喜劇として作られたそうだが、田村正和、岡田茉利子という親の七光組が、役柄もそのまま坊ちゃん嬢ちゃんで気ままにふるまい、年長者に対して何かというと「うるさい」とキレる。耳ざわりなので「うるさい」の回数を数え始めたが、あまりにも多いので途中でやめた。ついにはたまりかねたばあやまでが「うるさい!」と言い返したりした。また高校生の田村正和がお洒落でハンサムで目立つので上級生のグループが原っぱに呼び出して制裁を加えるのだが、それに対抗して高校のボクシング部に入るものの、それが生意気だとまたもや同じ原っぱでやられたり、街の不良たちにちょっかいを出される。戦前戦後を通じて日本男子にとっては殴合いが唯一のコミュニケーション手段だとしたら不自由なことだ。(美少年を愛する人と定評のある木下恵介が、石川竜二と田村正和の愛らしい2人組を間接的にいじめて楽しんでいるようでもある。)
筋の運びやセリフは紋切型で工夫がないが、脇役は好演している。東山千栄子の献身的なばあやとか、若水ヤエ子のチャッカリした女中、茉莉子と竜二の両親で小料理屋を経営する浪花千栄子と三遊亭円遊とか、担任の先生(三木のり平)とかが温かくて人間的だ。固定電話しかない時代の、取次の悲喜こもごもも懐かしい。また茉莉子と恋に落ちる正和の兄の吉田輝男は松竹移籍後の初めての出演だがなかなか颯爽としている。もっともステキな車でデートは良いが、大きく映った路面は継ぎはぎだらけでお粗末だった。
六十年安保のとき岸首相が国会周辺を埋めるデモの怒号の中で「声なき声を聴け」「野球場は満員ではないか」と言ったが、監督は野球場にいたような民衆に向けてこの脚本を書いたのかも。1912年生まれの彼はまだ40代である。
前回は2000年3月28日、高槻松竹、レイトショー19:15~(料金1500円)。
日記には「思ったより面白い。主役三人とも外形が美しいので見ていて楽しい」
とあるが、まだ50代でシニア割引がなく、1500円を張込んだのが今見れば健気だ。
高槻松竹
→「映画館のお茶」 8-11-20
→「高槻松竹が消える?」 7-7-19
岡田茉莉子
→「2級検定問題&結果」 7-5-30
木下恵介
「カルメン故郷に帰る」11-3-28「善魔」14-3-10「女」14-3-9 「死闘の伝説」14-3-5
「わが恋せし乙女」14-3-3 「カルメン純情す」14-3-2 「はじまりのみち」14-2-26
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