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凍えてコーヒーを飲む

          喫茶店のベランダで・背後に宍道湖

いつも義母と3人で行く、湖畔の赤レンガの喫茶店に、珍しく2人だけ
で行った。と、入った途端に、空気中の臭いに気づいた。閉切った室の窓ぎわで紫煙が立上り、他にも1,2箇所、煙草を燻らせている客が。

この店、昔ながらの喫煙自由の店。

我家は12年前、夫の胃潰瘍をきっかけに完全禁煙にしている。

何故きょうに限って気づいたか、と言うと
いつもは義母が転ばないか、疲れないか、などと
ハラハラしているので、空気の汚れを意識する余裕も無かったけれど、きょうは自分本来の感覚になっているということか。

夫は眉をしかめているが、事なかれ主義者の常で、ジッと我慢している。私はこういう時、すぐ行動を起こす方だ。先ず、窓をあけようとしたが、固くてあかない。ベランダへの扉はすぐ開いた。
外に出たら、寒いが好い空気だ。夫を誘うと、珍しく乗ってきた。

ボーイに「出てもいいか」と聞くと、「屋根が無いので、万一雨が降ったら室内に戻ろうとしても、席が無い場合は座れなくなるがいいか」とえらく慎重に念押しをする。今は客も半分くらいなのに余計な心配だ。

しかし、いざ座ると金属の椅子は冷たいし、車は傍をビュンビュン通る。それでも空気は中よりは断然よく、夫は意気軒昂で、

珈琲を運んできたボーイに「この店も、禁煙にしたら?」と言い始める。かれが持ち前の静かな口調で、横浜市や、市内に開店した日本茶の喫茶店の先例を上げて、この店は評判が良いのだから、禁煙にしても客足は落ちないと思うよ、と言うと、ボーイも素直に耳を傾けて、検討を約束した。

身体は凍えたが、夫の意外な積極性の発露を見て、心は温かくなった。
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