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映画「シンデレラ」


1950 米 72分 ≪Cinderella≫ 製作 ディズニー 原作 シャルル・ペロー
監督 ハミルトン・ラスク他
声優 アイリーン・ウッズ ウィリアム・ピップス DVDにて鑑賞

「シンデレラ」はフェミニストの間では評判が悪く「シンデレラ・コンプレックス」こそ女性の自立を阻む元凶だという説が主流である。私もそう思う。がそれはそれとして、私は幼くてまだ字が読めないころ、粗末な彩色の絵本で読んでもらってすっかり憶え、家族の前で「シンデレラは・・・」と物語っていた位、お気に入りの物語だった。

これは誇張や寄り道や修飾はあるが、かなり原作に忠実な「シンデレラ」である。
また、これがその後のアニメの原型になっているようだ。
いじわるな継母は、その後の悪女たちにつながる。
ネズミたちは召使いや妖精、小人になり
王子も無性格なデクノボウぶりが、「メリダとおそろしの森」では更に進んでいる。

さてシンデレラは単なる華やかなおとぎ話かと言うと、そればかりではない。

●小さな靴が似合う小さな足が、女性の幸せの必要条件。
●その上、掃除洗濯料理裁縫ができ、小動物(つまり乳幼児)に優しく歌とダンスもできる方がよい。
●辛い毎日の生活も明るく快活に、希望を持って耐え忍べ。
・・・・・・花嫁と主婦の必修科目を並べたようなものだ。

シンデレラの姉たちは、怠け者で浪費家、意地悪だったからではなく、
容貌がみにくく、足が大きかったから初めから失格なのである。
それでも母親にとってはかけがえのないわが子、
美質を備えたまゝ娘が憎く嫉ましい。
これは継母だからじゃない、実母が実の娘に対しても有り得る事。
一番賢く美しい子供より、弱く欠点の多い子供が愛される例はいくらもあるのではなかろうか。
不憫な子を可愛がる親は、自分の存在価値をそこで確かめるのだろう。
ああ、とうとう持論が出てしまった。「シンデレラ」について語るはずが。

「シンデレラ」はアニメに一番向いている話ではないだろうか、何しろ実写では不可能な事が続出。南瓜が馬車に、ネズミやトカゲがOOやxxに、そしてぼろをまとったシンデレラがきらびやかなドレスのお姫様になるというこの変身が、多分、子供の私にも気に入ったのではないだろうか。

ディズニーアニメの特色は、まず動物が人間に近いこと。猫のルシファー、犬のブルーノ、馬のメジャーは、どれも、いかにも猫、犬、馬の特徴を持ちながら個性的。魔女も肥った小母様で善意のひとだがうっかりもの。王様は背が低く肥って癇癪持ちだが「早く孫の顔が見たい」のが最大の願いと言ありふれた初老の男である。姉たちもわがままだが憎めない。だから、それぞれが深く心に残るのだ。

原作にはない、ガラスの靴が砕けるというハプニングがある。ハラハラドキドキのスリル、破局、落胆、安堵と言う道筋はいかにもハリウッドらしい観客サービスだと思う。

全体としてとても出来が良いので、80点。

→「足」 8-12-11

→「シンデレラ」(2015年) 15-4-28


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