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【映画】美しい人

2005 米 114分 原題≪Nine Lives≫ 監督・脚本 ロドリコ・ガルシア 出演 ホリー・ハンター グレン・クローズ  レンタルDVDで鑑賞 

2006年8月にJ.T.さんのブログで取り上げられていたが、やっと見ることが出来た。仏映画「美しいひと」La Belle Personne(2008)は別作品。

これは9人の女性を主役にしたオムニバス映画。
1話と9話が母と娘。途中で男性がからむが、これが誰も彼も、欲望のままに女性にちょっかいを出し、ついには介護をあてにするどうしようもない存在に見える。監督脚本が男性の割に、男性の美化が行われていない。ただ一つだけ、手術直前の女性(キャシー・ベイカー)をいたわる夫はべつで、この場合は妻が取り乱してしまい、感心できないなあと思ったが。同じ人物が別の短編に出て来て、まるで別人のような面を見せるのは人間性の深奥を忍ばせて面白い。
「A cat has nine lives=猫には9つの命がある」
最後の短編で、墓場の黒猫を見て少女(ダコタ・ファニング)が「猫には9つの命があるって本当かしら」と母グレン・クローズ(はじめは祖母かと思ったのは50歳近い年齢差ではなく、2人の間に漂う空気がなごやかだから)に言うが、猫とは女性と考えてもいいのではないか?女性はこれほど多くの困難に出合っても、泣いたりわめいたりしつつも強く生き延びる生物である。男性がいようといまいと。

映画はセリフが非常にムダがない。背景を想像させ、舞台を転換させるだけの力のあるセリフだ。この監督はノーベル賞作家・ガルシア・マルケスの子供だと知って納得。邦題にはもっと工夫がほしかった。苦悩する人、抵抗する人、歯を食いしばる人はいても「美しい人」なんかどこにもいないじゃないか。あえて言えば、墓地の黒猫はそう言えるかも。

映画「美しいひと」10-8-1
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