映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
映画「新幹線大爆破」
1975 日本 153分 DVD鑑賞 監督 佐藤純彌 出演 高倉健 宇津井健 山本圭 織田あきら 渡辺文雄 鈴木瑞穂 宇都宮雅代 藤田弓子 郷えい治 千葉眞一 志村喬 丹波哲郎 小林稔侍
【おはなし】
新幹線の乗客を人質にとった爆弾脅迫事件が発生した。爆弾は走行中の新幹線に仕掛けられており、列車の速度が時速80キロ以下になると爆発するという。巧みなポイント切り替えによって、新幹線は速度を維持したまま南下していく。だが、その終点は間近に迫りつつあった……。『スピード』という洋画が大ヒットしたことがあったが、それを20年ほど前に先取りした作品。(allcinemaより)
06年に高槻松竹で見ている。テンポが良く面白かったが、高倉健は憶えてない。当時彼に関心がなかったからというより、彼がその役になりきっており、本人ばかりが目立つ俳優ではなかったからだろう。
国鉄側の責任者宇津井健の役は誠実で感じ良かった。「大の虫を生かすために小の虫を殺す」と乗客を犠牲にしようとする政府の役人と対峙して辞職までも考えて悩む。
パニックに陥って流産してしまう妊婦がいたが、元々ヒステリックな性格なのでこれは自業自得だと感じる。こういう場合、無事生まれるのが常道だが。
さて犯人は3人組である。みんな社会に疎外感を抱いている。
1.大城浩(織田あきら)は沖縄から集団就職で出て来たが最初の会社が倒産後、職を転々し売血センターの外で倒れたところを健さんに拾われた19歳。ところが健の会社も半年後に倒産、かれは肉体労働で健を支える。夢はハーレーダヴィッドソンの1200CCを買って世界中を放浪することだ。
2.沖田哲男(高倉健)は自分の経営する下請けの精機会社が倒産し妻(宇都宮雅代)にも逃げられた40代の男。浩が工事現場で負傷したことで鬱積した怒りが爆発、犯行を思い立つ。爆破に使う速度計は自社の製品である。金をつかんだらブラジルでも行こうかと考えている。
3.古賀勝(山本圭)は内ゲバで転向した20代の学生運動家あがり。沖田とは煙草の火の貸し借りで知り合う。彼の希望は「革命がうまくいっている国に行って、人間への信頼を取り戻したい」ということだ。
とそれぞれに日本脱出を夢見ている。また容疑者を絞り込む時に50歳以上と女性は除かれているのがあの時代の常識に潜む性と年齢の差別を感じさせる。(40年経ったいまは、当時の除外された高齢者と女性の活用が言われているのだが)長距離電話の10円玉が数秒おきに落ちる音も懐かしい。
この当時の日本人は、この作品に見る限り、犯罪の動機も理解できるし、敵味方、立場を問わず誰もが誠実に一生懸命生きていたようだ。ただ乗客にバカなエゴイストが目立ったが、全員がそうではないし、話を面白くするためにした節がある。のちの大震災の時に見せた公共心こそ本当だと思いたい。
15億円分のドル紙幣は手に入れたものの、やはり「誰も殺さず殺されない、三億円事件のような?完全犯罪」は成立せず、3人は順次あえない最後をとげる。高倉健の日本人離れのした長い四肢を印象付けるラストは良かった。
高倉健
「昭和残侠伝唐獅子牡丹」14-12-26
「あなたへ」14-12-7
山本圭を悼む 22-4-28
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今年もどうぞよろしくお願いします。
先日、高倉健さんがお亡くなりになった時に、この映画のことも話題になっていましたね。
「スピード」はスリリングなアクションパニック映画でしたが
この作品は社会的背景なども描かれていて、ドラマとしても深そうです。
先日、「イージーライダー」(1969)を見たのですが、ハーレーで放浪するのが夢...
という生き方が、日本人にも影響を与えたのかな?とふと思いました。
こちらこそ今年もどうぞよろしくお願いいたします。
当時は爆破予告が珍しくなく「またか」と言う反応ですが、この場合は停めて調べられない所がミソらしいです。「イージーライダー」(あの映画は封切で見ました)のバイクはハーレーだったのですね。きっとその影響を受けていますね。浩の死因は逃走中のバイク事故だったのが、ひとしおあわれでした。
ところでこの頃、記事の下に↑のDVDの広告がずっと出ていたのですが、今はホテルの広告ですが、貴女のPCでも同じものが出ていますか?多分私のPCだけだと思いますが、気になっています。
CMは、直前に検索した項目と関係があるようですが、どうぞ無視してください。