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クリスマスの劇

12月23日が今年は土曜日。なぜか子供時代のクリスマスを思い出した。

真向いに県警の偉い人の官舎があり、数年ごとに住人が代わるのだが、1952年着任したTさんは4人子供を持つ熱心なキリスト教信者で、越して来て間もなく日曜学校を開いた。

それまで特に宗教色の無かった我が家だが、子供はみな通うようになった。兄と姉は中学生クラス、私と次姉は小学生クラス、弟は幼児クラスだったか。一般に親たちは生活に追われて子供にかまう暇もなく、塾も家庭教師も学童保育も無い時代だから歓迎されたと思う。

鹿児島大学の学生が先生で校長はTさん、時には教会の牧師さんが説教をし、T夫人(フレアスカートの、ほっそりとしたきれいな女性で、放送劇「サクランボ大将」のかすみ夫人だと我々は言いあった)がオルガンを弾き、2階の座敷に子どもが集まってにぎわっていた。

日曜学校最大のイベントは夏季学校とクリスマス会、そのなかでも劇である。

姉は引込み思案だが私はものおじしないので、2年生の時は献金用の黒い筒を逆さにかぶりヘロデに仕える学者となって大型の本を開いて朗読した。3年生のときはシュミーズ一枚で雪の中を放浪するみなしごの役だが、保護されて着せられた服は劇のすぐ前まで着ていた紅いワンピースなので「あっ自分の服を着てる」と叫ばれた。

サンタの配るささやかな贈物と綺麗なカード、それを持って帰って家族と食べた銀色の粒を散らしたケーキも忘れられない。(洋菓子なんて年に数度しかないぜいたくだ)

任期が終わって一家は別の土地に越していき、日曜学校は2年で閉校になった。

12月23日は私の中でいまも特別な日付になっている。

⇒「クリスマスについて」8-12-24
⇒「花の日」11-10-9
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