2003年 ノルウェイ 原題 Salmer fra kjonnet DVDで鑑賞
監督 ベント・ハーメル 出演 ヨアキム・カルメイヤー トーマス・ノールシュトローム
1950年代のノルウェイの田舎に住むイザクは高齢で独身の男性である。
スウェーデンの研究所が、台所の人間の動き方を調査するというので応募する。
報酬に「馬」がもらえると聞いたからで、いまかれの馬が病気なのだ。
ところが、それは木彫りの赤い馬だった。(スウェーデン土産として有名である)失望した彼は家に閉じこもって協力を拒否する。はしごを掛けて2階の窓からのぞく研究者フォルケの姿は、「ホルテンさん」そっくり。
ここからもう、そこはかとなくおかしいが、観察者が台所の隅の高い席に腰掛けて、喋らず、手も出さずという非人間的な条件が、とても続かず、自然と崩れてきて、交流が始まる。その交流は意外に発展して行き、当事者の人生を大きく変えてしまう。
スウェーデン(以下S)とノルウェイ(同N)は兄弟のような関係で、弟は兄を実におかしな奴だと思っているし兄は弟を馬鹿にしていると監督はいう。映画の中で、車もSが左側通行で国境で右側に変ると、その途端に吐き気がして来るとか。工業先進国のSに対し、自分では作れないくせに「Sの製品はすぐ故障する」と悪口いうシーンとか。
監督(1956~)は自身台所が好きで、長時間をそこで過ごすそうだ。
この映画は、分厚い家政研究書で主婦の動線図を見たという過去から
アイディアを得たという。そのことに彼の偉大な才能を感じる。
男性と台所の親密な関係。日本でも「男子厨房に入らず」は崩れているが、北欧はそれが大分進んでいるかも知れない。
「ホルテン」との共通点は年をとった男性独身者が主人公であるということ。
この映画では非常に淋しげな生活だが、それなりに心配し見守る周囲の男性たちがいる。「ホルテン」では若い(67歳)こともあり、異性との交流が暗示されている。
「ホルテンさんの初めての冒険」9-11-18