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【映画】エーゲ海の誘惑

2008 ウクライナ 90分 原題 SAPPHO 監督 ロバート・クロムビー 出演 アヴァロン・バリエ トッド・ソリー リュドミラ・シリャエヴァ ボグダン・スツプカ DVDで鑑賞

原題にあるように、古代の詩人サフォーの伝説をもとにしたアメリカ人夫妻とスラブ美女の三角関係を描く。水中や空撮などによるかなり大胆な性愛シーンもある。
ソ連映画に同性愛がでてきたことがあるか知らないが、社会主義の崩壊によってこの分野でも変化が起きたのだろうか。舞台は女性同性愛発祥の地とも言われるエーゲ海のレスボス島、妻の名が「サフォー」で相手の女性が「ヘレン」船の名前が「アフロディーテ」サフォー等の詩が朗誦される。波打ち際で拾うコインに、サフォーの肖像があるなど、細かい所まで調査が行き届き、ソ連の映画作りの伝統が生きているように見える。女性の自動車運転や断髪が物議をかもす点、1926年という時代の特徴が出ている。

金髪のサフォー(アヴァロン・バリエ)は発声や演技にやや難があるが、ミレイユ・マチューに似たお河童頭のヘレン(リュドミラ・シリャエヴァ)は自然で感じがよい。夫フィル(トッド・ソリー)は碧眼で草食系の三文画家で、高慢な妻に虐げられていたが最後に幸せをつかむ。

金持ちの美男美女が美しい景色の中で優雅に動き、目には楽しいが、同性愛に関する考え方は、馴れぬ事とて慎重になるのは仕方が無いが、表面的で古風。悲劇的な終り方も、サフォー伝説に拠ったともいえるが、通俗の道徳に遠慮しているともいえる。

ギリシア遺跡が残るウクライナのクリミア半島はロケ地として好適だったようだ。レスボス島の住民は、もともと自分達を意味する「レズビアン」が女性同性愛者の意味になっていることに不快を感じて2年前に名前使用差し止めを提訴したぐらいだから、ロケ地提供を頼まれても多分、断っただろう。20世紀初めレスボス島に永住しょうとしたナタリー・バーネイとルネ・ヴィヴィアンの同性愛カップルがいたし、一方で1920年代のパリには各国から同性愛者が集まったそうだ。この映画の物語は、したがって、全くの絵空事とはいえない。やはり旧ソ連映画は荒唐無稽ではなく良く調べて作っている。

22-3-5記 プーチンの閣僚が「ウクライナでは人間と動物のセックスが行われている」と非難しているように、旧ソ連とはまるで違っている。

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