映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
【映画】松ケ根乱射事件
2006年 日本 112分 監督 山下敦弘 出演 新井浩文 三浦友和
鑑賞@島根県民会館中ホール
タイトルからは、「八つ墓村」=「丑三つの村」(1938年の岡山の大量殺人事件)や、1972年の連合赤軍浅間山荘事件、1968年の金嬉老の寸又峡温泉事件を連想するが、実際はどうだったかといえば・・・・見てのお楽しみ。
ともかく映画鑑賞の機会の少ないこの町に住んでいなければ見なかったろう映画。しかし、出演が「ゆれる」の新井浩文(どちらも未見)、監督が「リンダリンダリンダ」「天然コケッコー」の山下敦弘(全く未見)なので、この際見ておくかと、土曜の晩、ひとりで徒歩で行ってみた。見れば若者が長蛇の列。さすが、若手監督、人気があるんだな~と思ったら、それは「東京スカパラダイス」(知らないが)のコンサートの方で、映画の方は30~40名。しかし会員料金800円で、入会金300円を払っても割安なので、即名画劇場会員に。客は、中年層が多くで、1人だけ、生きの良い若者が颯爽と入ってきたが、ああいう人、松江では少数派なんだろうな~。
一言で言えば、この監督は映画への才能と愛情と熱意はある。過去の作品をよく見ている。今流行の笑いのセンスもある。無いのは・・・狭い若者仲間以外の世間の大人にも通じる「哲学」だろうか。
原作は前2作のようなコミックかどうかはわからないが、脱力感をもたらす笑いに満ちている。日本映画の古典、今村昌平の「楢山節考」「神々の深き欲望」が仄見えるシーンもあり、久松静児の「警察日記」を彷彿させる自転車のおまわりさんが主役である。又、冒頭雪の上に倒れている若い女性の死体は強く印象に残る。(ふと「ファーゴ」が頭に浮かんだが、やはり多くの人に指摘されているようだ)
ただし、小学生から若者から老人まで男はすべて色気狂いで、女は老いも若きもアホかヒステリー、男女とも強欲、つまり人間万事色と金、と言うのは20代男性監督の人間観で、あのころの自分を振り返れば偉そうなことはいえないが、人間ってそれだけじゃないのにと、感じる年長世代を惹き付けるには少し深みが(または浅さが)足りないということか。
今村昌平
→「復讐するは我にあり」12-10-29
→「競輪上人行状記」14-5-12
鑑賞@島根県民会館中ホール
タイトルからは、「八つ墓村」=「丑三つの村」(1938年の岡山の大量殺人事件)や、1972年の連合赤軍浅間山荘事件、1968年の金嬉老の寸又峡温泉事件を連想するが、実際はどうだったかといえば・・・・見てのお楽しみ。
ともかく映画鑑賞の機会の少ないこの町に住んでいなければ見なかったろう映画。しかし、出演が「ゆれる」の新井浩文(どちらも未見)、監督が「リンダリンダリンダ」「天然コケッコー」の山下敦弘(全く未見)なので、この際見ておくかと、土曜の晩、ひとりで徒歩で行ってみた。見れば若者が長蛇の列。さすが、若手監督、人気があるんだな~と思ったら、それは「東京スカパラダイス」(知らないが)のコンサートの方で、映画の方は30~40名。しかし会員料金800円で、入会金300円を払っても割安なので、即名画劇場会員に。客は、中年層が多くで、1人だけ、生きの良い若者が颯爽と入ってきたが、ああいう人、松江では少数派なんだろうな~。
一言で言えば、この監督は映画への才能と愛情と熱意はある。過去の作品をよく見ている。今流行の笑いのセンスもある。無いのは・・・狭い若者仲間以外の世間の大人にも通じる「哲学」だろうか。
原作は前2作のようなコミックかどうかはわからないが、脱力感をもたらす笑いに満ちている。日本映画の古典、今村昌平の「楢山節考」「神々の深き欲望」が仄見えるシーンもあり、久松静児の「警察日記」を彷彿させる自転車のおまわりさんが主役である。又、冒頭雪の上に倒れている若い女性の死体は強く印象に残る。(ふと「ファーゴ」が頭に浮かんだが、やはり多くの人に指摘されているようだ)
ただし、小学生から若者から老人まで男はすべて色気狂いで、女は老いも若きもアホかヒステリー、男女とも強欲、つまり人間万事色と金、と言うのは20代男性監督の人間観で、あのころの自分を振り返れば偉そうなことはいえないが、人間ってそれだけじゃないのにと、感じる年長世代を惹き付けるには少し深みが(または浅さが)足りないということか。
今村昌平
→「復讐するは我にあり」12-10-29
→「競輪上人行状記」14-5-12
コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )
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大変遅ればせながら、お引っ越し後はじめてお邪魔いたします。
脱力感を伴うユーモアセンスは山下作品の特徴みたいですね。1人くらいはピリッとした役どころがいたほうが作品としては引き締まると思うのですが、最後までグダグダした感じで結論の出ないまま幕引きしてしまうのは「若さゆえの模索」ではないかと自己弁護も交えてフォローしておきます(笑)。ああそれから蛇足ながら山下監督は30代だそうです。
本作のテイストとは異なりますが、田舎を舞台にした昔の日本映画では、ハナ肇主演の『馬鹿が戦車でやってくる』を思い出しました。
こちらでお会いするのは初めてですね。狭いところですが、さあずーっと奥へどうぞ、すぐぶつかりますが・・・。
「結論の出ないまま幕引きする」のは「若さゆえの模索」ならいいのですが、老成し過ぎて、世間って人間って所詮はこんなものと思ってのことならザンネンです。ところで山下監督の年ですが、「若き天才、山下敦弘監督20代最後にして最高傑作」と言うチラシを見たものですから、てっきり20代だと思ってました。確かめてみる必要がありますね。
「馬鹿が戦車で」は山田洋次の初期作品ですね。調べたら1964年にハナ肇とコンビで3作「馬鹿」シリーズを作っていますね。寅さんシリーズは何故か長く続いたのですが。私が日本の喜劇と言えば、その10年ほど前の時代、伊藤雄之助を思い出します。市川崑の「プーサン」は傑作でした。何れにしろ、戦後の時代背景が無視できないものだったので、喜劇にも迫力がありました。
・・・と思ったら、お引越しなさっていたのですね。
初めてこちらにお邪魔いたします。
このテンプレート、緑の野菜が満点でとっても感じが良いですね。
また機会がありましたら、今後もどうぞよろしくお願いいたします。
なんともうまく説明できず感想は書かずに放ってあります。
なんともじめついた私には気が滅入るハナシで「で、なんだったんだろう」というのが正直な感想でした。
登場人物が全員私の癇にさわるキャラクターばかりで。(笑)
ファーストシーンはやっぱり「ファーゴ」を連想しますよね。
あの心優しい(少し抜けた)妹ですね。初耳の安藤玉恵を検索したら「ゆれる」や「紀子の食卓」にも出ている気鋭の役者でした。年齢は既に30歳…その割りに、あどけなさの残る役をうまく演じていましたね。この映画で彼女に言及する人は、見た限りでは余いないようですが、sabunoriさんはやはりマイナー好みなんですね。
私も、松江に住んでいると、日頃の生活感覚から、この映画の雰囲気は隔たりすぎていると感じます。こういう僻村が、どこかにあるのかどうか、どこにもないような気もします。