映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
映画「記憶の棘」 2

ニコール・キッドマン

キャメロン・ブライト
2004 米 100分 監督 ジョナサン・グレイザー 出演 ニコール・キッドマン キャメロン・ブライト レンタルDVDで鑑賞 原題 Birth
人は自分に欠けているものを求める。女好きのする女、短髪でボーイッシュ、スポーティな体つきのヒロインに惹かれて5年前、大阪駅前の映画館に見に行った。
その日は、午前中に別の映画を見て食事のあと、行ったら、すでに始まっていて、スクリーンには、若い女性が店で贈り物を買っているところが映っていた。DVDで確かめると初めの5分を見損ねている。そこにミステリーの鍵が含まれているのだが。
まあ謎ときはこの映画の最も重要な要素ではなく、冬のセントラルパークの寒々とした風景、ヒロインを演ずる女優のすらりと伸びた脚、彼女の心の揺らぎとそれを反映する大きい瞳に酔いしれていればすむようなものだ。
もう一人の10歳の子役(キャメロン・ブライト)にも妙な存在感がある。私事だが小学2年の時、同級生に妙に大人びた男の子がいた。北国からの転入生で、標準語をしゃべり、成績もお行儀もよく、声を立てて笑うことがなく常にクール、いつも皮肉な目で周囲を見わたしていた。当然ながら先生には好かれなかったが、私は一方的に気に入り、席替えの時さっさと彼の隣に押しかけて座ったものだ。この前、還暦記念同窓会に行ったら、彼も来ていて、あの当時と全く変わらないクールで無口な応対振りだった。そのとき、彼が母子家庭だったことを初めて知った。というのは「お父様はお元気?」と聞いたら当惑したように「それは・・・」とだけ、つまり「なぜ今頃そんな質問をするのだ?あの頃からいなかったではないか?」という意味だったろう。映画の少年が年上の女性を恋慕するようなエディプス的心理に、母を守るべき長男としての彼があったのかも知れない。
亡くなった夫の最後の姿、雪の上を黒いフードをかぶってジョギングする、カメラは、上から、まるで獣が動くかのように、それを捕らえている。ヒロインの熱愛する夫の最後の姿にしては、気味が悪い映像だ。これが夫の実像を予言している。
今思えば、この映画は特に優れた映画とは思えない。5点満点で、3点に達するかどうか。Toho系のシネコンで上映されたのだから、当然と言えば当然だが、なぜ私がこれほど気に入ったかと言えば、自分のブログ記事の第一号だったことと、キッドマンが出ていること、それに邦題「記憶の棘」が詩的だし視覚的にも良いと言う理由からで、これらは映画の本質的価値とは関係のないことだ、ミーハーと言わずして何と言おう。
〔映画〕記憶の棘 →2006-10-11

キャメロン・ブライト
2004 米 100分 監督 ジョナサン・グレイザー 出演 ニコール・キッドマン キャメロン・ブライト レンタルDVDで鑑賞 原題 Birth
人は自分に欠けているものを求める。女好きのする女、短髪でボーイッシュ、スポーティな体つきのヒロインに惹かれて5年前、大阪駅前の映画館に見に行った。
その日は、午前中に別の映画を見て食事のあと、行ったら、すでに始まっていて、スクリーンには、若い女性が店で贈り物を買っているところが映っていた。DVDで確かめると初めの5分を見損ねている。そこにミステリーの鍵が含まれているのだが。
まあ謎ときはこの映画の最も重要な要素ではなく、冬のセントラルパークの寒々とした風景、ヒロインを演ずる女優のすらりと伸びた脚、彼女の心の揺らぎとそれを反映する大きい瞳に酔いしれていればすむようなものだ。
もう一人の10歳の子役(キャメロン・ブライト)にも妙な存在感がある。私事だが小学2年の時、同級生に妙に大人びた男の子がいた。北国からの転入生で、標準語をしゃべり、成績もお行儀もよく、声を立てて笑うことがなく常にクール、いつも皮肉な目で周囲を見わたしていた。当然ながら先生には好かれなかったが、私は一方的に気に入り、席替えの時さっさと彼の隣に押しかけて座ったものだ。この前、還暦記念同窓会に行ったら、彼も来ていて、あの当時と全く変わらないクールで無口な応対振りだった。そのとき、彼が母子家庭だったことを初めて知った。というのは「お父様はお元気?」と聞いたら当惑したように「それは・・・」とだけ、つまり「なぜ今頃そんな質問をするのだ?あの頃からいなかったではないか?」という意味だったろう。映画の少年が年上の女性を恋慕するようなエディプス的心理に、母を守るべき長男としての彼があったのかも知れない。
亡くなった夫の最後の姿、雪の上を黒いフードをかぶってジョギングする、カメラは、上から、まるで獣が動くかのように、それを捕らえている。ヒロインの熱愛する夫の最後の姿にしては、気味が悪い映像だ。これが夫の実像を予言している。
今思えば、この映画は特に優れた映画とは思えない。5点満点で、3点に達するかどうか。Toho系のシネコンで上映されたのだから、当然と言えば当然だが、なぜ私がこれほど気に入ったかと言えば、自分のブログ記事の第一号だったことと、キッドマンが出ていること、それに邦題「記憶の棘」が詩的だし視覚的にも良いと言う理由からで、これらは映画の本質的価値とは関係のないことだ、ミーハーと言わずして何と言おう。
〔映画〕記憶の棘 →2006-10-11
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメントありがとうございます!タイトルの字面がいいですよね。原題とはまるで意味が違いますが、もし直訳の「誕生」だったなら、見に行かなかったかもしれません。詩的な感覚がある人がつけたのでしょうね。フランソワーズ・サガンの小説の題にありそうな感じ。
ワタシも2度見したいと思う映画が
いくつかあるのですが、ついつい
見たい映画が山程有るので、DVDだけ
買ったりしてストックしておくことにしてます。
(いつ見れるかわかりませんが・・)
まだ見たい映画が300本近くあるのです。
それまで心臓麻痺は勘弁ねw
盆暮れの私の押しかけでしたが、とうとうお出で下さり、嬉しいです。300本ものDVDって・・・相当のマニアですね。しかし再生技術の発達により、その内、DVDが使われなくなる日が来ないとも限りません(ちょうど、レコードやビデオテープが廃れたように)から、徐々に見始めてはいかがでしょうか。(借りるばかりで、一本も持ってない私のお節介です)