怠けるアリ

アリの集団にも常に２割くらいは怠け者がいるという。
そしてその怠け者の存在は集団の維持に欠かせないという北大の研究が発表された。
働き者が疲労困憊した時、やおら立ち上がって働きだすというのである。

はたして、そういう日が来るかは定かではないが、
かつて(今もか？）私は怠ける蟻のような存在だった。

10代のころ、その日何があったか忘れたが、
家の中がざわざわして皆が忙しく走り回っていた。
私は用事もなく、縁側で腰を下ろし、ボンヤリ庭を眺めていた。
通りかかった母が「ここで何をしているの」と聞いた。
「出番を待っているの」と答えたら
それが大いに彼女の気に入ったらしい。

「うち中がカーッとなって忙しくしている時
ひとりだけ静かにしている人がいるのも心が休まるものだ」
と言っていた。

母と私の波長が珍しく調和した思い出だ。

「Ｋ転倒す」18-2-10