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湖岸に青春の歌を聞く

ひょんなことから、松江高校の寮歌を聞くことになった。

白潟公園を散歩していた5月の午後、書道家の記念碑の前に佇んでいると1人の男性が話しかけてきた。小柄だが姿勢はよい。石碑の漢文をすらすら読むところから、70代以上と見た。書道家の生年が私の父と同じでなどなど話しているうち彼が
「向うの詩碑はご覧になりましたか」

詩碑とは、去年8月に掲載した杉山平一の「旗」の碑。
その前日、富岡多恵子の「難波ともあれ、ことのよし葦」の中で
彼の詩集「夜学生」について読んだばかりでもある。

かれが詩碑の建立に参加したと聞き、うれしくなった。
彼は松江高校に1941年入学、1年生の時に対米戦争が始まった。
学徒出陣で多くの友だちが戦死した。
旗、あの意味が分りますか。高校生の黒いマントのことですよ。

父は熊本五高でしたと、「武夫原頭に草萌えて」を口ずさみ、
ところで松江高校の寮歌はどんなですかと私。
「聞いていただけますか」と背筋を伸ばし、
「二つありますが、いい方から」と歌いだしたのが
「笛の音うるむ」露風ばりの歌詞は感動的で、思わず拍手。
もう一つ、よりポピュラーな「青春の歌」は、3番まで。
彼は86歳である。記憶力は勿論ながら、声量、肺活量に感嘆した。

以下の詩は、ネットで調べた。

1.青春の歌

   目もはろばろと桃色の
   春のくも行く大空を
   仰ぎて立てる若人に
   三春清き花のかげ

2.笛の音うるむ

   笛の音うるむ夕月夜
   袖師ヶ浦に逍遥の
   汀戀しき春たけて
   君くれなゐの顔(かんばせ)も
   水面(みおも)の影にうつろひて
   三春うたゝ夢の中

→「旗」08-08-21
コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (おキヨ)
2009-06-10 11:52:36
お二人の状景が眼に浮かびます。
なんと味わいのあるひとときでしょう。
70~80代の方は胸にまだまだ赫いものを持っていらっしゃることが珍しくないですね。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2009-06-12 08:40:45
おキヨさんがこの話題に反応するとは思いませんでした・・・日頃「ジイサン」に手厳しい貴女ですから・・・大サービスのこの方、私を旅行者だとばかり思っていたらしいです。まあ、半分はそんなようなものけれどね。
 
 
 
Unknown (おキヨ)
2009-06-12 12:49:26
それはBiancaさんの文章力で、登場する人物は私の中で好ましく想像されるからです。情景も。。。

私が嫌いなのはク○ジジイだけ・・・^^ゞ

貴ブログにがさつなコメントを残すのは私だけですよね〔恥〕
 
 
 
逆もまた真では (Bianca)
2009-06-14 16:06:57
出先では互いの良い面しか見えません。彼だって奥さんには何と言われているか。逆もまた真なりで、貴女のご主人もどこかで会ったら、それは素敵な方に見えると思います。
 
 
 
Unknown (Lamblin)
2009-06-21 07:06:17
Bianca さん、おはようございます。
私の知己にも「彼は86歳である。記憶力は勿論ながら、声量、肺活量に感嘆した」に中る方がいらっしゃいます。
旧制高校の寮歌、軍歌、流行歌など2000曲位は完全に記憶していると申しますし、「わしゃぁ、どうも数学が苦手じゃった」と笑って居られますが、漢詩や和歌の造詣も深く圧倒されてしまいます。
お歳は召されていますが、心は惚れ惚れするような素敵な若者そのものでございます。
因みに(こちらが主文?)、Bianca さんの執筆が以前のペースに戻ることを楽しみにしています。パソコンの調子が原因でしたら、チョッと横でも叩いてみて欲しいものでございます。科学的ではございませんが・・・。
 
 
 
Lamblin様 (Bianca)
2009-06-21 14:35:59
パソコンの調子は回復したのですが、脳内の機械がいまひとつで・・・。不思議なものですね、人の心は。どういう仕組みで外向きになるのでしょうか。下書記したものをアップするのに、きっかけがいるみたいです。
 
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