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映画「太平洋の奇跡」


2011 日本 128分 松江SATY東宝にて鑑賞
原作 Don Jones 監督 平山秀幸 Cellin Gluck
出演 竹野内豊 唐沢寿明 中嶋朋子 井上真央 阿部サダヲ 

自分が生れた昭和19年を日本史年表で見ると、7月に「サイパン島陥落」10月に「特攻隊初出撃」の文字が目に入る。母の胎内にいたころから満1歳になるころまで、こういうことが起きていたのかと思えば、この映画がなんとも身近に感じられる。

原作の著者もとアメリカ軍人は、敵であった大場大尉への敬意を抱き、戦後来日して再会を果してから書いたらしい。

サイパン島で米の上陸した1944年6月から、最後の日本兵が投降する1945年12月までを日米両側から描いたもの。

思わず涙がにじむような箇所があった。7月7日の総攻撃では、「そんなに一生懸命になっても、日本は敗けるんだよ」とは、後世だから言えるのだが、鉄砲を構えて前のめりに突進する兵隊が、どれも自分の父親に見え、可哀相で、気の毒でならなかった。主役竹野内豊の風貌は、結構日本の軍人らしさが出ているのでは。終幕近く、米軍の前にやぶの中からすっと現われるシーンは神秘的で「遠い夜明け」でデンゼル・ワシントンの扮する南ア黒人指導者ピコの出現と似ている。彼のあだ名Fox=狐は蔑称かと思ったが、独ロンメル将軍が北アフリカの砂漠で乏しい物資と小人数で強大な英軍を翻弄し「砂漠の狐」と呼ばれたように「敵ながらアッパレ」の思いがこもっているらしい。

投降シーンの様式美には、リラックスして待ち受ける米側も居ずまいを正す。「戦場にかける橋」で連合軍捕虜が「クワイ河マーチ」の口笛を吹きながら完成した橋の上を行進したのを思い出した。ここでは「敵は幾万ありとても」(だと思う)を歌いながら先頭に大きいまっさらの日の丸(大切にしまってあったらしい)を掲げて行進する。40数名ながら威風堂々だ。(実際には歌は「歩兵の本領」だったそうだ。投降するのだからこちらの方が相応しいかも。)※

サイパン島といえば「バンザイクリフ」の悲劇と観光のみが頭に浮かぶが、こういうこともあったわけだ。戦い続けたことよりも、生き延びられて良かった。米側にとっては、価値観とか、常識が通じる日本人もいたことでホッとしたのだろう。井の中の蛙ではなく、外界で通用する常識を持たなくてはと思う。・・・私が言っても説得力ないか。

※私の勘違いで、やはり「歩兵の本領」が歌われていたそうだ。しかもこの「歩兵の本領」はメーデーの歌「聞け万国の労働者」と同じ曲だからおかしい。(2-27記)

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