映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
【映画】アメリカン・ラプソディ
2003 米・ハンガリー 108分 監督 エヴァ・ガルドス 出演 ナスターシャ・キンスキー スカーレット・ヨハンセン ラファエラ・バンサギ
残留孤児が家族の許に・・・。5歳の時(1955年)ハンガリーから渡米した、エヴァ・ガルドスの自伝的な作品。
物語:知識階級の父親は、統制が厳しく生命も脅かされる社会主義国ハンガリーから米国に脱出するが、生後間もない次女(ヒロイン)を、過酷な逃避行に連れて行くにしのびず、置いていく。次女は農村の豊かな愛情あふれる夫婦に預けられ、5歳まで育つ。やがて米国に引き取られるのだが、養父母と故郷を恋しがってばかりいた。そして15歳になったとき、ハンガリーを再訪する。
5歳までを演じるラファエラ・バンザキは「地下鉄のザジ」を彷彿とさせる、前歯の透いた金髪のお河童娘で、活発な愛らしい子。15歳からはスカーレット・ヨハンソンでアメリカの反抗的十代を見事に演じている。ナスターシャ・キンスキーは線の細い美しい母親役だ。(余談ながらその人物像にはあまり共感はできない)
ハンガリーで1950年代に起きた悲劇、そして多くの難民が出たことは「野ばら」「アナザーウェイ」「ブタペスト市街戦1956」の映画にも描かれている。
それらと比べると、この映画はあくまで少女の人生を中心に作られている。題材にこれを選んだということは、自分の過去を整理することが、監督としての出発に際して、ぜひとも必要なことだったのだろう。父母や養父母に対する思いを描くことは、自分の人生の根っこを見つめることでもある。
そういう点で、非常に個人的な、いわば個人史のような映画で、これを作ることは誰より監督自身にとって意味があったのではないかと思われた。もちろん、いろいろな点で興味をそそるし、細部が丁寧に作られている。しかし作り方は感傷的なBGMが入り通俗的な母物のようで新味がない。第1回作品なので今後の変貌に期待したい。彼女は「地獄の黙示録」(1979)の製作にも関わったそうで、映画のキャリアは十分だろうから。
残留孤児が家族の許に・・・。5歳の時(1955年)ハンガリーから渡米した、エヴァ・ガルドスの自伝的な作品。
物語:知識階級の父親は、統制が厳しく生命も脅かされる社会主義国ハンガリーから米国に脱出するが、生後間もない次女(ヒロイン)を、過酷な逃避行に連れて行くにしのびず、置いていく。次女は農村の豊かな愛情あふれる夫婦に預けられ、5歳まで育つ。やがて米国に引き取られるのだが、養父母と故郷を恋しがってばかりいた。そして15歳になったとき、ハンガリーを再訪する。
5歳までを演じるラファエラ・バンザキは「地下鉄のザジ」を彷彿とさせる、前歯の透いた金髪のお河童娘で、活発な愛らしい子。15歳からはスカーレット・ヨハンソンでアメリカの反抗的十代を見事に演じている。ナスターシャ・キンスキーは線の細い美しい母親役だ。(余談ながらその人物像にはあまり共感はできない)
ハンガリーで1950年代に起きた悲劇、そして多くの難民が出たことは「野ばら」「アナザーウェイ」「ブタペスト市街戦1956」の映画にも描かれている。
それらと比べると、この映画はあくまで少女の人生を中心に作られている。題材にこれを選んだということは、自分の過去を整理することが、監督としての出発に際して、ぜひとも必要なことだったのだろう。父母や養父母に対する思いを描くことは、自分の人生の根っこを見つめることでもある。
そういう点で、非常に個人的な、いわば個人史のような映画で、これを作ることは誰より監督自身にとって意味があったのではないかと思われた。もちろん、いろいろな点で興味をそそるし、細部が丁寧に作られている。しかし作り方は感傷的なBGMが入り通俗的な母物のようで新味がない。第1回作品なので今後の変貌に期待したい。彼女は「地獄の黙示録」(1979)の製作にも関わったそうで、映画のキャリアは十分だろうから。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメントありがとうございました。
実の両親は別れてしまった娘への想いが強かったのだと思います。
ただ、それが優先するあまりに周囲や娘本人に対して
一方的に押し付ける形になってしまった悲劇ですね。
また無意識にせよ共産圏の貧しさに対する優越感もあったのではないでしょうか。
トラックバックさせて頂きました。
TBとコメント有難うございます!わたしTBがまだでしたね、何と抜けていることか。それにしてもブダペストの街の美しいことはおどろきでしたね。