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広津和郎、娘桃子との交流記

亀山恒子著 2012年 図書新聞刊

 著者(1918~2010)は今回初めて知った作家だが、彼女の師事した広津和郎のことばに気に入った箇所がたくさんあったのでメモしておく。

★同時代作家評
 問 「小林秀雄さんの文章は名文でしょうか」
 答 「いや、名文とは思いませんな。あの人の文章を読むと、どうも、肩が張るようでいけない。人間はもっとバカなところがあっていい」
「あの人は決して強い人ではないでしょう。自分の弱さを素直に認められない点が、あの人の不幸な点だと思う」「芥川も、武郎も、自分の持っている以上のものを見せなければならないことがつらかった」
 問 「自分を見せることが出来なかったら、どうなりますの」
 答 「そのようになれば、二人ともああなった」
 「志賀は立派な環境の中ですくすく伸びた人で非常に聡明だが、太宰の苦しみは分らない。いや、分ろうとしないところに、太宰治の反逆があるのは当然である。」

★「散文精神」について
 
散文精神とは、それがどんな事であっても、忍耐強く、執念深く、みだりに悲観も楽観もせず、生き通していく精神それが散文精神だと思います。

広津和郎は、昭和11年、「人民文庫」主催の「散文精神を訊く」という講演会では、会場にいた特高にわからないように、巧妙に横文字も入れたそうだ。

→「風雨強かるべし」20-8-14
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