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【映画】 ブライト・スター

2009 英豪 監督 ジェーン・カンピオン 出演 
鑑賞@島根県民会館
 
英国の詩人ジョン・キーツ(1795-1821)は25歳で結核で死に、詩作の期間は僅か5年だったが、大きな名声を残している。その彼のはかない最初で最後の恋の物語。
 
キーツといえば「美しきものは永遠の喜び」で始まる詩「エンディミオン」、「'Here lies one whose name was writ in water.'(水にその名を書きし者 ここに眠る」と言う墓碑銘を思い出す。
 
ジェーン・カンピオンは彼の短い生涯と美しい詩篇に魅せられてこの映画を作ったそうだ。
この映画、カンピオン流が貫かれている。まずヒロインが彼女好みの健康美人。大柄で血色の良い、文学趣味の無い、凡庸とも見える若い女性が登場する。最初は紅いドレスを着ているが、恋に陥ると共に青や白のドレスになる。前半は退屈で居眠りしてしまったが、後半から目を開けて見る気になった。各映画賞で、衣装部門でノミネートされているのもわかる。
 
キーツのヒゲもじゃの友人も興味深い。排他的で嫉妬深い友だちだがそれが女性達の登場で、別々の道を辿ることになる。貧しいので、交際相手も手近に限られ、隣家の娘と女中なのだ。脇役では、ファニーの妹弟が可愛らしい。特に妹。キーツの役は、詩人らしい香りや高雅さに欠けているような気がする。高望みかしら?本当の詩人とはもっと荒々しいものかな?
 
蛇足だがギリシア神話の「エンディミオン」といえば、高校の英語で習ったことがある。月の女神セレネが眠っている美貌の若い羊飼いに心を奪われ、彼の不死を望んだ。しかし、神々でないただの人間にそれは無理なことで、結局は永遠の眠りを与えられるというのだ。が、エヴスリンの「ギリシア神話小事典」によると、女神は彼との間に50人の娘をもうけたとある。セレネは処女神だったのに、いくら相手が美貌の青年だからと言って、処女の誓いを破るだけならまだしも、眠っている若者と50回も?しかし、子どもがすべて娘というのが、なんだかクローンのようで、そこが女神の人間と違うところだろうか。羊飼いと言い、月の女神と言い、仕事をホッポリ出して眠ったり、恋をしたり、人間くさく、いかにもギリシア的である。
 
→「スペイン広場の娘たち」21-9-12
→「若い詩人の肖像」22-1-24
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