映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
【映画】アダン
右端が田中一村氏の実像
2005年 監督:五十嵐匠 脚色:松山善三 出演:榎木孝明
古手川祐子 木村文乃 鑑賞 2006年7月11日@第七芸術劇場
(アダン・ガーダ・バッシング)を、当時まとめてアップしたのだが、この度独立させることにした。
これは孤高の天才画家・田中一村(1908-1977)の生涯を描いた映画。
みるべきポイントは
①かれの清冽な生涯②姉の献身③奄美の自然美 と言えると思う。
姉役の古手川など女優陣はしっくり行っているが、榎木の起用が?に思えた。まず風貌が違うこと。田中一村は栃木なのに、榎木は鹿児島出身だ。榎木は美大卒で自分も日頃から絵を描き、各地で個展を開いている。同じ監督の「HAZAN」03で陶芸家の役を演じたあと、この役を志願したそうだ。確かに絵を描く姿はサマになっているが、もともと血のあつい薩摩人に「孤高」は似合わない。南国の情熱がほとばしる感じで、意欲が空回りしている風に見えた。
田中一村はただひたすら絵を描き、貧しく無名な生涯に徹し、死後初めて有名になった。1979年に東京で初の個展が開かれた。
鹿児島では1985年10月10日~20日に山形屋で展示され、10日間に46000人の入場者でにぎわったそうだ。
これは一村と私の出会いになるが、85年11月末に1月足らずの入院で亡くなった父の遺品の中に、一村の画集があった。父の元気だった時、最後に見たのは彼の絵だったかもしれないと思うと、カバー袖の一村像から、父の面影が浮ぶ( 気がする)。
参考文献:「日本のゴーギャン 田中一村伝」
南日本新聞社編 小学館文庫 1999年刊
→「ガーダ」7-1-22
→「バッシング」8-4-22
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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どうも、榎木さんとは相性が良くないみたいで映画はみてないんですけど、確かこの映画のプロモーションの時に初めてみたんだと思いますが、田中一村の絵って結構引き込まれます。画法のことは分からないのですけど、丁寧に書き込まれた墨絵のような背景に、鮮やかな色の花や果実や蝶が浮かび上がってる感じがいいんだと思います。
Biancaさんにとって、お父さんの思い出と重なる画家なんですね。
おっしゃるように、榎木孝之は自分からこの役をやりたがった割りに(それ故にこそ、かも)できばえはいまひとつでした。が、一村の絵は、結構、万人受けする絵ですよね。それでいて、奥が深い。新庄選手(ご存じない?)のプレイみたいなものかな、っとこのたとえは全然おかしいですね。
「何でも鑑定団」見ています。日本の庶民が無邪気に「お宝」を自慢するすがたが楽しいので。長年見ていると、自然に鑑定眼がついてきますね(冗談)。うちには今も昔もお宝は全然ないです。私に日本画の知識があるなら単なる年の功。昔は教科書の口絵や、雑誌の表紙、暮れに商店からもらうカレンダーにも有名画伯の絵がのっていましたし。そうそう、高校入試に図工という教科があり、小中学に図工教科書があった時代です。(何故か話題が古い時代に集中)
この映画確かに、あの少女は余計ですね。周辺に女性の影は姉しかなかったらしいし、性格に圭角があり妥協できずに友や理解者ともすぐに「絶交」する癖があったよう。いかにも芸術家らしいです。しかし貧乏生活=シンプルライフを貫いた姿はすがすがしく思えます。