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【映画】小さな中国のお針子

2002年仏 110分 監督ダイ・シージエ  出演 ジョウ・シュン チュン・コン 
リィウ・イエ 原題 《Balzac et la petitte tailleuse chinoise》 DVDで鑑賞

文化大革命の1971すごい僻地に下放された17歳と18歳の少年たち。
マーとルオは年も背格好も髪型も表情もとてもよく似ているので、
3年過ぎて映画の最後が近づくまで(そんなボンヤリは私だけ?)見分けがつかない。

題名からすると、お針娘が主人公のようであるが、その実・・・

「鳳凰山は、漢の皇帝が愛人の宦官に与えた場所。これが中国で最初に同性愛が記述されたくだりだ」という冒頭説明はこの映画の特性を予言しているのでは。表面的にはルオとお針子が愛し合い、妊娠にいたるのだが。

そういえばダイ・シージエには女性の同性愛を描いた「中国の植物学者の娘たち」2006もあるが、これは妙にねっとりと、耽美的・官能的に描写している。
女性のばあいは平気なのに、男性となると、イヤに勿体ぶって、回りくどく
古書の一節で仄めかすだけなのは何ゆえか。
えっ、ダイ・シージエさん、「下らん言掛りをつけるな。それに私は同性愛者じゃない」とおっしゃる?どうも失礼しました!
 
序にいうと私が見た彼の映画は3本(もう一つは「中国わがいたみ」1989)だが全部フランスで作っている。中国を出て何十年来、仏に住んでいるのだ。

女優ジョウシュンは「ウィンターソング」2005でも二人の男性の間を行き来し、
最後はわが道を行く女性を演じている。本作ではまだ膨れて子供っぽい
顔立ちだが、後になるにつれ輪郭がハッキリしてくる。
どちらの映画でも、彼女は顔も声も人形のようで、存在感が感じられないが、
本国では人気バツグンらしいのが不思議。

男たちははじめ彼女を教育するが、やがて彼女に捨てられるのも似ている。

バイオリンを弾く文学志向のマーが印象的だった。思い出すのは
小学5年の時、東京から、やはりバイオリンを弾く少年が転校して来て、クラスに
一大センセーションを巻き起こした。突然、文化的異境に連れてこられた
彼の戸惑いが、今になって追体験できたのが、切なくも懐かしい。
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コメント
 
 
 
こんばんは (狗山椀太郎)
2008-11-21 23:57:32
どうも、お返事が遅くなってすみません。
>男性となると、イヤに勿体ぶって、回りくどく
ううむ、Biancaさんとしては、男同士の愛をもう少しじっくり見てみたかったのでしょうか(笑)。まあ、男の立場から言わせていただくと、女性同士の関係は自分では体験できないこともあって、官能性やファンタジーの要素でキレイに描いてみたいという思いが優先してしまうのかもしれません(あっデビュー作もご覧になっていたのですね、さすが!)
男同士の恋愛関係が出てくる中国系作品では『ブエノスアイレス』が有名ですが、昨年見た台湾の『花蓮の夏』も本作と同じく若い男女3人の物語で、もどかしくもせつない雰囲気がとても良かったです。
 
 
 
狗山さま (Bianca)
2008-11-23 10:51:52
>Biancaさんとしては、男同士の愛をもう少しじっくり見てみたかったのでしょうか
それは、まるで私がエロOOOみたいじゃありませんか。
「ブエノスアイレス」みたいに露骨なのは好きではありませんが、この映画のように、99パーセントの観客が気づかないようなのも、意味が無いと・・・。もしかしたら、ダイ・シージェ監督すら、気づいていないのかもと思わせる、薄弱な描写も、勿体ないと思うのですがね。大体、中国系の監督が同性愛の描写をする時、極端に走りやすいのですね。アン・リー「ブロークバックマウンテン」チェン・カイコウ「覇王別姫」法律でも死罪、儒教も禁止、とあればこうなるのもやむをえないかも知れませんが。露骨よりは想像力の働く余地を残す方がわたしも好きですが、少なくとも、意識的にぼかしてほしいと思うのです。
 
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