二本立て

結婚と海外渡航は、人生でいちばんやりたくないことだったので、
32歳までかかわり合わなかった。外語大学を出てその国に行かないとか、
無職無収入なのに結婚もしないのは明らかに周囲の人に目障りだったらしく、
よく一度して見ればと言われたがやり過ごしたのは、多分生理的に反発したのだ。
ところが、その苦手な二つが一緒に現れた時
今だと飛びついたのは、矛盾だと言われそうだが、
もし一つずつ順番に現れたら、そうはならなかったと思う。

例えば、映画に例えると、とても見たい映画は多少高くても
その一本の為に見に行く。
嫌いなあるいは苦手なジャンルの映画は、好きな映画と
２本１組になっていたら、ついでに見に行く。
（意外と本命より良い場合もある）

更に言えば、２本とも嫌いな映画であっても、
たまたま何もすることのない日とか、
他に嫌な用事のある日とかには、
見に行くことがある。「嫌い」というのは無関心と同じではない。
興味は感じているのだ。”この際チョイと覗いてみよう”だ。

よく苦手な人ばかりを一度にパーティに招待するという話を聞くが
それに近かったかもしれない。毒を以て毒を制すである。

もう人にあれこれ言わせはしない、
この際一気にやっつけるくらいの思いだったのだろう。

「父母と私とシリア」17-8-14