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わら半紙

「紙」というテーマで、昔書いた文章。

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       消えたわら半紙              
                 
 先日TVで北朝鮮の子供向けの漫画本を紹介していた。日米帝国主義者をやっつける勇敢な少年たちが主人公で、粗悪な薄っぺらな紙に、二、三色で印刷されている。子供のころ見た、アメリカ製の漫画本を思い出した。それにしても、もう長い間、こんな粗末な紙を見たことがないと思った。

 また、私が学生の頃、中国の定期刊行物―「人民中国」などは、やはり紙も印刷も粗末だった。中国語科の女子学生が、「このごろ、中国から来る雑誌やノートなどの紙質が良くなってきた。国力が上がっている証拠だと思うと、とても嬉しい」と熱をこめて語っていた。文化大革命の前だったか後だったかは分からないが、彼女の純真さに打たれて、そのことばが今も忘れられない。
 日本もあの頃より豊かになったためか、わら半紙、ボール紙などの昔よく見た紙が、最近どこにも見当たらない。

先日、八木先生の紹介で、明治時代に造られた大阪最古の小学校を見に行った。事務室に謄写版を見つけ、懐かしさのあまり、自分もローラーに青いインクをつけて刷ってみた。傍らには、あの昔ながらのわら半紙が数十枚、ちゃんとあった。しかし、それが無くなったあとの補充が利くのかどうか、ひとごとながら心配になる。  
最近では、私も、紙に字を書くことが少なくなった。日記や手紙を書くにも、パソコンを使えば速くて便利ではあるが、昔ながらの筆記具や、便箋や封筒などが消えていくとしたら、耐え難くさびしいことだと思う。     

【八木先生評】
「わら半紙」はことばそのものも消えてしまいましたね。
紙はたしかに、その国の経済状態を表しています。

文章教室 課題「紙」2007年1月16日作 31日返却
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先生の趣味の切手の例などを挙げて論旨の補強をされるなど、この文は珍しく先生の好評を博したので印象がよい。また中国の昨今の発展ぶりには、今昔の感にたえない。

※「明治時代に造られた大阪最古の小学校」は 
→egoiste 05年11月23日 / 08年6月30日
コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
懐かしい (かよちーの)
2008-06-06 12:25:35
Biancaさん、こんにちは。
わら半紙、懐かしいです。
謄写版は、ガリ版っていうんでしたっけ?わたしが中学生くらいまではあったような気がします。
 
 
 
Unknown (kazukokawamoto)
2008-06-06 13:43:44
紙一つのテーマに、いろんな思いの違いがあるのね。わら半紙に謄写版、ガリ版といって、小学時代に使って、黒く染まった手がなつかしい。
文章教室は今度は「髪」です。考えて。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2008-06-07 23:29:10
かよちーのさん、ガリ版といいましたね、ガリ切りはよくやりました。小学校の文集やテスト、大学に入ると、朝夕、活動家が配るビラがガリ版で、コピーが一般的になるまではすべてこれでした。今では若い人には知る人も少なくなっているでしょうが・・・

kazukokawamotoさん、「紙」って地味な存在ですが、特に日本人には縁の深いものですよね。昔はこれしかなく、獅子文六の「大番」の主人公はガリ版摺りの恋文を何人もの女性にばら撒いて村を追い出されます。「髪」ですか~。なんだか切なくなる題ですね。
 
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