映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
映画「シャニダールの花」
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2012 日本 104分 DVDにて鑑賞 監督 石井岳龍ex聡互 出演 綾野剛 黒木華
タイトルとジャケットに惹かれて手に取った。
【お話】
年頃の女性の身体に花が咲くという現象が起きる。巨額の報奨金をだして彼女らをケアし花を咲かせ、採取して研究する機関が、「シャニダール研究所」綾野剛は研究所員で、黒木華は心理カウンセラーの資格を持つ新任の助手。
シャニダールとはイラク北部にある遺跡。ネアンデルタール人の骨のそばに、花の化石が発見されたという。
石井監督は女性を崇拝し、女性の優しさ美しさ包容力にあこがれているそうだが、「女性崇拝」と言う言葉今どきの女性には相手にされないであろう。
肌に咲く花と言えば、「にきび」は青春の花「薔薇疹」は梅毒、風邪の花は口唇ヘルペス。
映画に出ている芽は、ジャガイモの目のようだし、HIVも連想する。癌かも知れない。
そして「子供の芽」胎児のようでもある。
花に関する様々な考察・解釈が作中に散りばめられていてそれぞれは検討すれば興味深いかも。
「花が恐竜を滅ぼした」
「花がネアンデルタールを滅ぼした」
「花と人間は、生殖器の位置が上と下、逆についている」
「人間は進化して花から人間になったが、いままた花にもどろうとしている」
「花を女性に捧げることで男は獣から人間になる」
「なぜ人は花に惹かれるのか。花は親和のシンボルだから」
各人の花にはプラスチックのふたがついているが、だれでもが開けて触れることができるという、危機管理能力ゼロの施設でもある。
花の芽を持つ女性は、妊婦のごとく、結核患者のごとく、精神病者のごとく扱われている。
SFめいたホラー映画かと思えば、何の前触れもなく、色恋沙汰が発生する。ホラーかミステリーかSFかメロドラマかがはっきりしないことで観客をいたずらに戸惑わせるし、第一、花と言えば即、若い美しい女性に結び付ける型にはまった発想は致命的。太宰治とかジュネがこのことでどういっているかを知らないものと見える。黒木、綾野などがきれいに撮れているのがプラス。
評価は5点中2点。
映画は本来、絵で見せるもの、この映画のようにセリフに頼りすぎるのはどうかと思う。しかもそのセリフが所々聞き取れない(老人性難聴もあるかもしれないが)
石井聡互(1957年福岡生れ。2010年岳龍と改名)は「狂い咲きサンダーロード」「逆噴射家族」「シャッフル」などを1980年代に見ているが、私とは肌合いが違い、拒否反応を起こし、タイトル以外ほとんど記憶に残っていない。
本作では彼が50代になり気が弱くなったせいか、多少は一般向けになっていて、人間と花の画像が美しく、受入れやすかったが、相変わらず思込みが激しく他人に分らせるための努力が不足しているのが惜しまれる。
黒木華
→「小さいおうち」14-1-29
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