goo

ぼろぼろな駝鳥

何が面白くて駝鳥を飼うのだ。

動物園の四坪半のぬかるみのなかでは、

脚が大股すぎるぢゃないか。

頚(くび)があんまり長すぎるぢゃないか。

雪の降る国にこれでは羽がぼろぼろ過ぎるぢゃないか。

腹がへるから堅パンも喰らふだらうが、

駝鳥の眼は遠くばかりみてゐるぢゃないか。

身も世もない様に燃えてゐるぢゃないか。

瑠璃色の風が今にも吹いて来るのを待ちかまへてゐるぢゃないか。

あの小さな素朴な頭が無辺大の夢で逆まいてゐるじゃないか。

これはもう駝鳥ぢゃないぢゃないか。

人間よ、

もう止せ、こんな事は。

    ーーーー高村光太郎詩集・猛獣篇より

熊本県菊池市の観光牧場で飼育されていた大型の鳥「エミュー」が脱走しました。その数20羽に及び、逃げ回るエミューを捕獲する作戦が続いています。TVのニュースより。

 神戸市王子動物園のメスのキリンひまわり(1歳8ヶ月)が4月に岩手の動物園に移送中にケージ内で死亡したという。20年7月、王子で19年ぶりに生まれて喜ばれていたところなのに。転倒し首を戻せなかったために呼吸困難になったとみられる。10年前にも別の動物園で似たような事故が起きている。(毎日新聞5月31日夕刊)

 ☆「種の存続のため」という動物園の善意の措置が却って若死を招くことになった。失敗の教訓が共有されていないのも問題だ。

→「火星が出てゐる」7-2-27

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 青と緑 映画「羊飼い... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。