映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
ぼろぼろな駝鳥
2021年10月10日 / 詩
何が面白くて駝鳥を飼うのだ。
動物園の四坪半のぬかるみのなかでは、
脚が大股すぎるぢゃないか。
頚(くび)があんまり長すぎるぢゃないか。
雪の降る国にこれでは羽がぼろぼろ過ぎるぢゃないか。
腹がへるから堅パンも喰らふだらうが、
駝鳥の眼は遠くばかりみてゐるぢゃないか。
身も世もない様に燃えてゐるぢゃないか。
瑠璃色の風が今にも吹いて来るのを待ちかまへてゐるぢゃないか。
あの小さな素朴な頭が無辺大の夢で逆まいてゐるじゃないか。
これはもう駝鳥ぢゃないぢゃないか。
人間よ、
もう止せ、こんな事は。
ーーーー高村光太郎詩集・猛獣篇より
熊本県菊池市の観光牧場で飼育されていた大型の鳥「エミュー」が脱走しました。その数20羽に及び、逃げ回るエミューを捕獲する作戦が続いています。TVのニュースより。
神戸市王子動物園のメスのキリンひまわり(1歳8ヶ月)が4月に岩手の動物園に移送中にケージ内で死亡したという。20年7月、王子で19年ぶりに生まれて喜ばれていたところなのに。転倒し首を戻せなかったために呼吸困難になったとみられる。10年前にも別の動物園で似たような事故が起きている。(毎日新聞5月31日夕刊)
☆「種の存続のため」という動物園の善意の措置が却って若死を招くことになった。失敗の教訓が共有されていないのも問題だ。
→「火星が出てゐる」7-2-27
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