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映画「キャリー」

  娘(シシー・スペイセク)  母(パイパー・ローリー)

1976 米 98分★午前十時の映画祭★松江SATY東宝にて
監督 ブライアン・デ・パルマ 原作 スティーヴン・キング
出演 シシー・スペイセク ジョン・トラヴォルタ パイパー・ローリー エイミー・アーヴィング

これは初めて見る映画。監督のブライアン・デ・パルマは、血しぶきが飛び散るホラー映画が得意らしいので、なるたけ遠ざかっていたからだ。しかし「キャリー」には下記のような面もある。

1.青春&学園映画
2.宗教に凝り固まった母親
3.天使のように無邪気に育てられた娘、その超能力
4.母娘関係、依存と支配と反撥

1と4では「草原の輝き」を思い出した。パロディ好きな監督でもある。

アメリカの高校生の実態を「草原の輝き」で見たときは、何と恐ろしい、猥雑な世界だろうと思った。私の高校はまるで軍隊か修道院のように世間離れしていたので。

母親は肉体が罪悪であると言う信仰?に凝り固まり、その方針で娘を育てる。「草原の輝き」のヒロイン同様「キャリー」もそんな母親に育てられて最初は無知で無邪気で、あたかも天使のようである。しかし、内向した怒りが高まると、物を振動させるのが映画の初めから伏線になっており、ついには見境の無い大災害を起こす。

これは旧約聖書のソドムを思い出させる。腐敗堕落の噂の高いソドムに2人の天使が若い男の姿で遣わされ、義人ロトの家に泊まったが、ソドムの男たちは老若問わずセックスを求めて押し寄せた。「われわれは彼らを知るであろう」と。(きっとさぞ見目形のよい若者だったのだろう)天使は彼らを盲目にする、そして神はソドムを硫黄と火で滅ぼすという話だ。これは、清浄な、天上的なものの持っている凄まじい怒りと破壊力を示唆する。

高校教師の経験があるスティーヴン・キングは、いじめが原因の登校拒否などを見ていた。いじめに反撃する少女、それがテーマだと言う。デ・パルマの血しぶき趣味とカトリックの背景が大げさにしているけれど。

シシー・スペイセクは「ザ・リヴァー」「ミッシング」「ストレイト・ストーリー」で見ているが、好きな女優だ。級友エイミー・アーヴィングも、一時スピルバーグと結婚していたそうだが、敵役だが感じがよいと思った。トラヴォルタはとても若く、彼らしい無反省で無鉄砲な男を演じている。母親は「奇跡の海」のエミリー・ワトソンを連想させる、子供のような丸顔で、こういう顔が狂信と結びついている様が傍目にはいっそう怖い。

★スティーヴン・キングに関して
→映画「スタンド・バイ・ミー」 11-12-10
→本「トム・ゴードンに恋した少女」11-12-11

★私の高校時代に関して
→本「エリックの青春」 12-1-23
→映画「ザ・ウェーヴ」 10-7-28
→課題作文「窓際の席」 09-1-21
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