映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
「楡家の人びと」
2019年03月28日 / 本
新潮社 1964年刊 北杜夫著
何か分厚いものをと思って、むかし読んだこの本を選び、2週間の期限いっぱいで読み終えた、その達成感から何か記録しておきたくなった。
日頃から斉藤茂吉と夫人、茂太、北杜夫、その娘など、この一族に関しては興味を抱いている。例えば我家には茂吉全集がなぜか2揃あった。発売時に父と姉が別々に買ったらしい。
このごろ連日日本の作家それも戦前中心に読みふけっているので、ことさら鼻についたが、かれの文体にはトーマス・マンと三島由紀夫の影響を強く感じる。
私が20歳前後、父いわく「翻訳小説を読むな」を思い出した。当時は、何より翻訳ものが面白く、そんな言葉も聞かばこそであったが・・・。
茂吉の随筆はすばらしいし、茂太のエッセイもユーモラスで面白い(特に母親に関する部分)
北杜夫になるとそうでもない。かれは青少年時代、どういう読書体験をしていたのだろうと思い「楡家」でその環境を見るとまあ仕方がないのかもと思う。
昔読んだとき、一番強烈だったのは桃子であった。聖子や藍子にも興味があった。
父は題材が茂吉一家であるから興味をひかれそうなものだが生意気に若造が勝手なことを言い散らしてと感じたのかもしれない。
北杜夫はその後、もっと生真面目な父親の評伝を書いている。むしろそちらの方を読みたいのだが、島根大学は松江ではなく出雲の医学部にしかおいてなかった。
追記:横浜市図書館では開架図書に置いてある(21-2-23)
→「壮年茂吉」「茂吉彷徨」20-7-9
「茂吉晩年」20-7-29
「青年茂吉」20-7-30
コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )
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めちゃくちゃ面白いと思って読んだ・・・
え~そうなんですか?
彼の人気は、そういう読者層に支えられているのですね。
まあ書いた本人は、これくらい頑張って書いたものはないと言っていますし、あの三島由紀夫氏も当時の日本で最高だと絶賛していたようです。ただ、私は斎藤茂吉がちゃんと描かれていないので、不満足でした。私にユーモアの感覚が欠如していて面白くなかったんでしょう。
ただ、このごろ純粋な日本文に慣れているので、この翻訳調の文はとても読めません。
ごめんなさい、あなたのコメントを間違えて消してしまいました。かぜで頭がぼーっとしているからかも。
桃すけ様はこの小説「めちゃめちゃ面白かった」のに、Biancaは面白くなかったとは。これほど意見が違うことは珍しい、と言う論旨だったと思いますが・・・。
さて、ここでなぜ面白くないかを説明すべきかどうか、わかりませんが、上にも書いていますように、
私はユーモアの感覚が、大方の人と違っているんですよ。みんなが面白いというものが面白くないことが良くあります。
もう一つは、内容より、読書でもっとも大事なのは文体で、それがで北杜夫のこの場合まるでトーマス・マンの例えば「トニオ・クレーゲル」の訳のようなのが、気に障って仕方がないのです。若い時に翻訳文ばかりを読みなれた人の文の通弊ではないでしょうか。私もその点えらそうなことは言えませんが、翻訳調を避けるように注意はしているつもりです。
3のままだと返信がないとおもわれるでしょうから。
お風邪、お大事にね。
楡家の人びと、図書館で借りられると思います。ぜひ読み返してみてください。
ところで、2才違いの姉は、私と違い、翻訳文学はほとんど読みませんでした。理由は「国文にくらべて難しいから」だそうで、当時は不思議でした。今になればわかるような気がします。近ごろでは日本人のものがはるかに多くなっていますので。