ヨンウさんは90歳代、女性。身体の麻痺は、ほとんどないが大腿骨骨折の後遺症がある。シルバーカーでの歩行。認知症は中程度から、やや重度に傾いている。在日韓国人でもある。
「キムチを作りたい」とか、ご近所の韓国食材店によく遊びに行っていたとか、そんな話を一日中、繰り返している。
レクリエーションの時、チヂミを上手に作ってくれ、皆さんに振る舞ってくれた。
戦時中だか、戦後だったか、、子どもを背負って闇米を買い出しに行った時、見張りの役人に見つかって、酷い目に合わされそうになったという話しもしてくれた。色々、苦労して来られたみたいだが、あまり多くは語らない。
でも毎夜、ヨンウさんは夢でうなされる。寝入りばなの独語も多い。
ヨンウさんの場合、家族との絆がとても深い。
娘さんは仕事の都合で遠方におられ、あまり訪ねて来られないが、孫娘さんが近くに住んでおられて、足繁く通って来られる。
小さなひ孫さんも交えて3人で、よく近くの銭湯へ行かれたり、食事に出掛けたりもされる。足の弱いヨンウさんを連れだすのは大変だと思うのだが、そんなことは少しも気にしていない。
この家族にとって親や祖母に尽くすのは、当たり前のことのようだ。それは、素直に素晴らしいことだと思う。