このゲームのマップは中世アルメニアであり、ファンタジーの世界観ではない(前提1)。
われわれ日本人には分かりにくいのだが、キリスト教徒やイスラム教徒は神の存在を信じるのと同様に天使や悪魔の存在も信じているらしい。悪魔がいないと言うのは、聖書にウソが書いてあると言うのと同じだからだ。したがってこのゲームに登場する悪魔は、ファンタジーに登場するオークやゴブリンなどのモンスターとは少し意味合いがちがう(前提2)。
以上2つのことをふまえて、このゲームを難解たらしめている「魔法」、「モータルパワー」と言う概念について考えてみたい。
このゲームにおける「魔法」とはファンタジーにおける魔法、すなわち超能力のようなものではない。あるいは辞書的な意味での魔法、すなわちキリスト教の教義に反する自然科学のようなものでもない。
このゲームにおける魔法使いはグリモワールの研究者であり、魔法とはさだめられた儀式をとりおこなうことにより悪魔を召喚することである。ダニガン氏のヒストリカルノートによるとそれは「ソロモン王の定めた誰にでもできる手法」なのだそうだ。ある意味魔法使いは宗派の異なる聖職者であるとも言える。
この魔法使いに敵対する勢力が「モータルパワー」である。モータルパワーは字義どおり魔法使いを殺すことのできる力、いわゆる「魔女狩り」である。1ユニットは必ずしも1人とは限らない。軍勢をともなっている場合もある。
前述の通り魔法使いは超能力者ではなく単独での戦闘力を持っていないので、モータルパワーとの戦闘は極力避けるのが無難だろう。