人村です!

舞台と結婚したと公言する「人村朱美」が綴る舞台生活 毎週火曜日更新・・・したいなぁ

人生の剪定

2020年11月03日 | 舞台
 庭木の剪定(というよりただの伐採に近いが)で想うのは、至近で見ているのと俯瞰して見るのとでは誤差があるという事だ。
 目の前の下草や樹木の枝に集中して「これで良し!」と道具を片付けて縁に上がり、「さて~」っと見てみたら「失敗したバリカン頭みたい」・・・みたいな。

 庭の剪定は演出の仕事に通じるものがある。
 個々が精いっぱいの努力で演じ、演出は俯瞰して全体像の為の指針を示す。
 好きな仕事だがいつも責任の重さを痛感する。
 個に負けて全体を殺してしまう危険も、その逆の危険も付きまとうからだ。

 個をを潰しては全体も崩れる。
 今一番恐れるのはその場合だ。

  <細部の筆裁きと省略が見事に「鰻」に昇華している、と感嘆。千葉春湖(しゅんこ):作>
   <部分の造作のリアリティがそのまま省略無しに積み重なって、生きているかのような老女。(作者知らず)>

 12月6日に美浜図書館主催で山本周五郎の短編(50分)を朗読する。
 準備期間が一ヶ月半と短いから、遠出する時は持ち歩いて難しい文体と格闘しているが、加えて向田邦子の2作品も読む事になったのでテンテコである。

 「鳥は楽譜なんて読めないけど、決して歌うことを止めない」
 誰の言葉だったか忘れたが、鳥のように体から湧き出るもので自然に読めたら素敵だと思う。
 が、その心境に持ってゆくのはなかなかだ。

 どの枝を払い、どの下草を活かすか。
 果敢な挑戦も随所でしてみたい。

 とにかく、一瞬の永遠に生きるような1時間半になったなら本望だ。

 

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