「人(の命)は、ほかの何ものにも代えることができないものである」という大前提のもとに築かれてきた結婚の制度や、死(殺人)への償いの制度が変質して、「人」がモノと同様に売り買いされるような事態になってしまったのはどうしてか。
それは、先の制度が市場経済と接触するところで、そして暴力が介在することによって起きる。つまり、「人」をも売り買い可能な商品としてしまう市場経済というものなしに、また、「人をその人たらしめている相互関係や共有された歴史、集合的責任の織物から、人間を切り離」すための暴力なしに、人を奴隷にすることはできないということである。
. . . 本文を読む