<西方/西洋は西ヨーロッパではない。西ヨーロッパは辺境であった><政府は軍事力であり、社会の外に存するもの><社会と中世イスラーム国家のあいだに構築された壁、侵略戦争、奴隷兵士><●価格はアラーの意志によって決まる。価格を上げ下げするのはアラーなのである。――預言者ムハンマドのものとされている言葉
●共同出資者の取り分は、商業的投機における出資の割合によらねばならない。――イスラームの戒律><国家の介入への拒否感、神の見えざる手>
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「枢軸時代」という呼称は、ドイツの実存主義哲学者カール・ヤスパースが唱えたものである。グレーバーは、これら二つを組み合わせた方が有益であるように思うとして、前800年から後600年と定義する。すると枢軸時代は、ピタゴラス、ブッダ、孔子といった世界の主要な哲学的潮流が誕生したのみならず、ゾロアスター教、預言者的ユダヤ教、仏教、ジャイナ教、ヒンドゥー教、儒教、道教、キリスト教、そしてイスラーム教という、今日の主要な宗教すべての誕生を目の当たりにした時代となる。地域を隔てて互いの存在すら知らなかったのに、ギリシア、インド、中国において、競合しあう知的学派どうしの議論が突如開花をみた時代である。ここから、なぜこのようなことが起きたのか?という疑問が生まれる。 . . . 本文を読む
この章では、あまり知られていない2つの事実が語られる。その一つは、人類史において、奴隷制度がいくども廃棄されてきたということである。 もう一つは、ユーラシア大陸の過去5000年の歴史をみると、信用貨幣が支配的な時代と金銀が支配的になる時代とが長期にわたって交互に入れ替わるという事態が観察されることである。 . . . 本文を読む
この章では、われわれがそれほど考えることもなく使っている「名誉」とか、現代文明の基盤となっている「私的所有権」とか「自由」という概念について、哲学的に考えるのではなく、人類学的知見をベースとして、それが人間の歴史の中で、どのように生まれ、使われてきたのかということが語られる。そして、そこには「物理的な暴力=棍棒、綱、槍、銃による脅迫」が深くかかわっていることが明かされる。また、家父長制や女性の自由の全般的低下についても、その淵源が語られる。 . . . 本文を読む