報道番組の視聴中、党大会における石破茂総裁の挨拶に違和感を覚えた。
わざわざテロップつきの映像を流していた。いわば切り取り挨拶である。
テロップの表記どおりに記すと「我が身を滅して総力を尽くします」という覚悟を語った箇所だった。
おそらく「読み」原稿は秘書の手になるものだと考えられる。あるいは総裁の手になる原稿だったか。
いずれにしろ「我が身を滅して総力を尽く」すとは意味が掴みがたく違和感を覚えた次第。
慣用的な言い方を敢えて避けた結果、文脈上の破綻を引き寄せてしまったものと思われる。
「我が身を滅して」とは「滅私奉公」の滅私が意識された結果と推察できる。
「総力を尽くし」は「身を粉にす」という言い方に工夫を凝らしたつもりか。
普通、わたしたちは「総力を尽くし」たりはしない。「全力を尽くす」だけ。
総力戦という言い方はあるけれど、個人の場合、持てる力のすべては「全力」であり、「総力」という言い方は普通、母語話者ならしない。
揚げ足をとっているわけではなく、慣用的な言い方を避けた結果の文脈上の破綻、意味の混乱を指摘しただけであり、他意はなく、むしろ「我が身を滅」することより「身を粉にす」ることが党のために働く覚悟を語ったことになるはずだった。
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