《落日菴執事の記》 会津八一の学芸の世界へ

和歌・書・東洋美術史研究と多方面に活躍した学藝人・ 会津八一(1881-1956)に関する情報等を発信。

秋艸53号

2022年04月03日 | 日記


「秋艸」53号が届いたので、さっそく読んでいる。
「秋艸」(しゅうそう)は、新潟市會津八一記念館の「友の会」のような位置付けである「秋艸会」が年2回発行している会報。 

今号で特に面白いと思ったのは、郡司いく子、和田博一、太田春男の各氏の文章である。

郡司氏は、八一が、たまたま自邸に遊びに来た子供の落書き(八一の顔)に、即興で歌を詠み、それを絵ハガキにしたことを述べる。その子は、八一の風貌を鬼のように描き、八一はそれを面白がっているわけであるが、子ども好きだった八一のリアルな姿を伝える面白いハガキだし、それを紹介する郡司氏の文も快い。八一の子供との関わり方は、もっと研究されてよいと思う。小説「鳩の橋」は、文学としてはやや素朴だが、資料としてとても興味深い。

和田氏は、直接は存じ上げないが、奈良在住の八一の熱心な読者として記憶している。お年を召されてから視覚ハンディを持たれたようだが、それにも負けず、聴覚から八一の歌や作品を楽しんでおられる様子だ。八一の歌ほど、音韻的に計算されて詠まれた歌はそうない。もし視覚障害の方にも八一の歌が響いているとすれば、八一の作品の普遍性を証明するなによりの証拠となるだろう。

太田春男氏は、中村屋のOBで、新入社員時代、直接八一の謦咳に触れている人。氏の文章も八一の姿をいきいきと描いている。

お読みになりたい方は、ファックスか郵便で秋艸会に問い合わせを。
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