

「秋艸」47号が届いた。早速読んでいる。
「秋艸」(しゅうそう)は、新潟市會津八一記念館の「友の会」のような位置付けである「秋艸会」が年2回発行している会報。
47号所収のおもな記事のタイトルと著者名を紹介する。(敬称略)
〇表紙解説「武者小路実篤の個展芳名録」 岡村鉄琴(新潟大教授)
〇「興福寺歌碑の思い出」 上村光司(秋艸会会長)
〇「中金堂落慶と「仏の庭」」 多川俊映(興福寺管主)
〇「八一初歌碑のはずが戦後建立」
〇「八一を知る 八一がわかる」
〇「生誕百二十年 天才・山田正平の小宇宙」
〇「會津八一 書の魅力」野中吟雪(新潟大学名誉教授)
〇「雁魚来往6について」 角田勝久(新潟大准教授)
〇「武藤師が八一歌を演奏講話」(第63回秋艸道人忌の報告)
〇「ご仏前で箏を演奏し語り終えて」武藤祥圃(山田流筝曲家)
〇「會津八一の歌を映す 第12回写真コンテスト」
〇「會津八一の歌を映すとは」 神林恒道(會津八一記念館館長)
〇「會津八一の歌を映す」 新見靖子(秋艸会香川支部)
〇「書を再現する 開催報告(早大会博主催シンポジウム)」 徳泉さち(同博物館助手)
〇「いつもフレッシュ 私の八一体験」 高村壽一
〇「會津八一先生の学芸に触れた50年の歳月」 和田博一
〇「中条會津八一会の歩みについて」 今村克治
〇「かまづかの会に入会して」 大石利明
今号で感動したのは、和田博一氏の文章だ。
氏は奈良の大学の図書館に長く勤め、また八一の熱心な読者であったが、病気により視力を失われたという。しかし音声編集された八一の著作を聴き、「生きる勇気をもらった気がした」と述懐される。まさに人生の課題として、八一を読んでこられた方の文章だ。飯の種ではなく、自分の生き死にをかけて、八一の文学に取り組む。そういう方の書く文章は、読む人の胸を打つ。
八一の解釈に命をかけた人は、吉野秀雄、西世古柳平、喜多上、この3人だと思っていたが、和田氏もこれらの先達に並ぶ方なのだろう。
病苦にあった氏を再び勇気づけたのは、八一の芸術が、人を喚起する力を持つ本物のそれだからに違いない。
「秋艸」は、充実した内容で驚く。読むたびに、未見の情報を教えられるので大変勉強になる。
お読みになりたい方は、ファックスか郵便で秋艸会に問い合わせを。
一部500円。
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